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「『人が恋に落ちる瞬間を、初めて見てしまった』って、きゃー、青春よー。なんかいいわよねー」 |
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「夕陽の海に向かって『青春ばんざーい！』だもんね。マジ青春だよ。青春地獄だよ。いやはや甘酸っぱいもん観ちゃったねー」 |
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「それにしても！ 蒼井優ちゃん！ 蒼井優ちゃんよ！ 彼女がすっごいかわいくなかった？」 |
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「うんうん！ 原作を読んだ身としては、花本はぐみ役を出来る女優なんてそうそういないだろうと思っていたけど、蓋を開けてみたら役者陣の中で蒼井優ちゃんが一番登場人物になりきってたもんね」 |
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「なりきり度でいうと、次点は山田さん役の関めぐみちゃんかしら。なんか似てたよ」 |
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「真山は実写にするとキモいということがわかった。原作に輪をかけてストーカー化してるし」 |
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「好きな女性の使用済みストローやアレやコレをゴミの中から収集して、日付や拾得場所をラベリングして、それを更に丁寧にパッケージングして、そうして集めたコレクションを部屋の壁に飾って鑑賞する……そんなストーカーが紛れ込んでる青春群像劇って、果たしてどうなのかしら」
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「そういうイタさも含めての青春ってことなんじゃない？」 |
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「他の役者さんはねえ……花本先生役の堺雅人さんは相変わらず山南敬助にしか見えなかったわ。最後に微笑みながら切腹するかと思った」
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「堀部圭亮とペリーの声の人が演じるゲイ兄弟はキレててよかったね。主役級の役者たちが原作よりも現実的な性格だったぶん、このへんでバランスを取ったのかな」 |
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「でも、実写森田はちょっと微妙よね」 |
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「うん、実写森田はなんか微妙だね」 |
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「ストーリーの締め方も。原作が完結してないから、仕方がないといえば仕方がないのだけれど」
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「ま、蒼井優ちゃんのはぐっぷりに感動する映画ってことだね、これは」 |
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「オアーッ」 |
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「わっ、びっくりした。シコメ、いたんだ」
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「おわーっ、あんなところで第二回エアセックス世界大会をやってるよーっ」 |
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「いつものように低級動物霊に取り憑かれて、あらぬ幻覚を見せられているみたいよ」 |
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「なんだよエアセックスって。第一回はいつやったんだ」 |
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「わーっ、大会会場の新宿ロフトプラスワンに急がなくちゃー！」
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「あっ、どこへ行くのシコメちゃん」 |
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「ダメだありゃ、完全に正気を失ってるよ」 |
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「あっちの方向は……あっ、いけない、追いかけるわよ！」 |
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「えっ？ ちょっとちょっと」 |
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「シコメも……シコメもエアセックス界のビル＆テッドになるのよーっ」 |
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「待ってシコメちゃん！ そっちに行ってはいけないわ！ だってそっちには……そっちには！」 |
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「ははははは。……すとん」 |
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「あーっ、キツネに化かされたシコメちゃんが社務所の裏にある肥溜めに落ちた！」 |
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「……てか、なんで神社の社務所の裏に肥溜めがあるんだー！ 超不浄だろー！」 |
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「人が……肥に落ちる瞬間を……初めて見てしまった……」 |
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「ええーっ！ 今までの展開はもしかして、ただ単にそれを言いたいがために！？」 |
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