|
|
 |
「でんでけでけでけでけでんでんでーん」 |
 |
「はっ、ほっ、はーっ！」 |
 |
「わっ、びっくりした！ なぜにミザルーを口ずさみながら社務所に登場！？」 |
 |
「それはね、あたし達、本日封切りのタランティーノさま（注1）総指揮ホラー映画『ホステル』を観てきたばかりで興奮醒めやらぬからでえーす！」
|
| |
（注1）死せる魂の神社では、超偉大な映画人クエンティン・タランティーノを祭神として祀っているため「さま」づけでお呼び申し上げています |
 |
『ホステル』の中でもテレビで『パルプ・フィクション』が流してるシーンがあったよね。サミュエル・L・ジャクソン（注2）がちらっと映ってたよ」 |
| |
（注2）死せる魂の神社では、ナイスガイ兄貴的俳優サミュエル・L・ジャクソンの御魂を祀ろうという機運が高まりつつありますが、現時点ではまだ祀られていないため敬称はおつけしておりません |
|
「こらーっ、ダメでしょ、巫女の仕事をほっぽってグログロなサディスティック・ホラー映画なんか観に行っちゃ！」 |
 |
「で、でもぉ〜、でもでもぉ〜、雑誌や映画館が煽るほどのグロやサドではなかったわよね、シコメちゃん？（見当違いの言い訳）」
|
| |
「うん！ 首チョンとか、アキレス腱切断とか、子供たちのリンチで頭蓋骨陥没とか、飛び出た目玉をハサミで切断とか、意外とおとなしめだった！」 |
 |
「それでおとなしめかよ！ あんたらの基準はどんだけヤンチャなんだ」
|
 |
「あのね、映画館ではオート（嘔吐）バックキャンペーンというのやっていてね、映画を観て気分を悪くしたり吐いたりしたお客さんは、上映後46分以内の退場に限ってチケット代を返金するというものだったんだけど、誰も退場なんかしなかったのよ……ううっ、おっ、おえーっ」 |
|
「ど、どうしたのウズメ姐さん！ 気持ち悪いの？ やっぱり『ホステル』がグロくて、それで今ごろになってダメージが？」 |
|
「ううん、ただちょっと『トンマッコルへようこそ』のことを頭に思い浮かべたら、あまりのプロパガンダ臭に胸がムカムカしただけ」 |
 |
「……（また始まったよ、韓国バッシングが）」 |
| |
「こいつはくせぇーっ、ホンタク以下の臭いがプンプンするぜーっ」
|
|
「……。えー、その、そうそう、『ホステル』ですけど、どういう話だったの？」 |
|
「ええと、三人のバックパッカーがね、『スロバキアのホステルに行けばエッチな女の子とエッチなことがたくさん出来る』というウワサを聞いてノコノコ出かけて行って、一人また一人と消えていく……そんな話よ」 |
 |
「人間ダルマの都市伝説みたいな話だった！」
|
 |
「東欧のスロバキア、ってあたりが妙にリアルさをかもし出していて怖いね。テキサスに代わるいま最もアツいホラー・スポットは東欧なのかも」 |
|
「しかも舞台はスロバキアなのに、なぜか日本人が大活躍」 |
|
「大活躍って、何するの？」 |
 |
「目玉が飛び出したり、通りすがりの人が三池崇史カントクだったりするの」
|
| |
「意味がわからないよ。三池は通りすがりの人の役なの？」 |
| |
「うーん、もしかしたらちょっとネタばれになる部分があるかもしれないから、な・い・しょ」 |
|
「じゃ、今後の楽しみのために、あえて聞かないでおくことにするよ」 |
|
「ちなみに、これもネタばれになるから詳しくはいえないけど、もしもあたしがアソコでアレをするなら、ぜひとも韓国人をリクエストしたいわ！」 |
 |
「いひひひひ、それって最高！ ファッキンクール！」 |
|
「でしょでしょー。それってすっごいふぁっきんよねー」 |
| |
「よくわからないけど、今ちょっとなんだかヤバげなことをサラリと言った気がするから、あえて聞かないことにする！」 |
|
「さて、それはそれとして仕事仕事！ あたしが昨日違法コピーした『獣人雪男』DVDの売れ行きはどうかしら……って、一枚も売れてないじゃない！？」 |
|
「いやその、実はアタシもさっき社務所に着たばっかりだったりする。てっきり二人がいるもんだと思ってさ、『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』を観てから来た……」 |
|
「もうっ、なによそれ！ サグメちゃんには仕事に対する責任感というものがなさすぎるわ！ おかげで『獣人雪男』を売りそこなったじゃない！」 |
|
「誰も神社でそんなモン買わないよ。というか、姐さんもそんなコト言える立場じゃないでしょうに」 |
|
「まあいいわ。今度からローテーションをちゃんと組むようにしましょう。サボって映画を観に行く人と、違法コピーDVDの売り子の」
|
 |
「アタシたちが売るのはお守りとか破魔矢でしょ！ ……でさあ、感想とか聞かないわけ？ キャッツの」 |
|
「えー、だってあたし興味ないもーん。ユンソナの出てる映画は観ない宣言！」 |
|
「絶対面白いハズだけどなあ。クドカン作品って、たしかに観る人を選ぶし、ドラマ版の知識無しに映画版を観るのはたぶん苦行でしかないけど、ハマればすっごい面白いはずだよ。冒頭の韓流ドラマパロなんかは思いっきり韓流をバカにしくさってるからむしろ姐さん向けだし」 |
|
「シコメは人がいっぱい死ぬ映画しか興味なーいもーん」 |
|
「この映画の主人公は最初からずーっと死にっぱなしだよ」 |
|
「ホント？ なになに、どうやって殺されるの？ 首チョンパ？ 眼球注射？ 爪針拷問？ 肉切り包丁？ チェーンソー？」 |
|
「んなわけないだろ！ 舞台は木更津だぞ！ ガンで病死だよ！」 |
 |
「うえー、地味ー」 |
|
「地味っつーか。漂流したり怪獣と戦ったりする前作はあまりに派手にフザけすぎだったけど、本作はほどよくまとまっていて好感がもてたよ。まさに完結編というかんじ」 |
|
「（パンフを見て）あ、栗山千明ちゃんも出るんだ。どんな役？」 |
|
「サドっ気全開の自衛官役」 |
|
「じゃあ観なきゃ」 |
|
「あ、神無月も出るんだ。どんな役？」 |
|
「新庄のモノマネをする役」 |
 |
「じゃあ観なきゃ」 |
|
「どんな判断基準だよ！ ……まあいいや。あまり人気がなかった初回放送のTVシリーズから応援してきたアタシとしては、こうして映画が二作も作られるまでに成長したシリーズ最終作を一人でも多くの人に観てもらいた……あっ、どこ行くの？」 |
|
「さっそく映画館で『木更津』観てくるから、お留守番お願いねー！」 |
|
「行ってきまー！」 |
|
「『獣人雪男』ちゃんと売っておいてねー！ もし売り切れたら、次は奥の棚から『ノストラダムスの大予言』出して並べておいてー！」 |
|
「えーっ、そりゃないわよー。とっほほー（古典）」 |
| |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|