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「いっただきまーす！」 |
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「あらサグメちゃん、今日はパンなのね」 |
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「ウズメ姐さんはいつも手作りお弁当だよねー。中身のおかずも凝ったものばっかだし、マジでクールなお嫁さんになれるよ姐さんは」 |
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「みてみてー。シコメのお弁当は大好物のカエルの目玉の煮っころがしだよー。いひひひひ」
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「お前はあいかわらず怪奇趣味な弁当だな」 |
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「あら美味しそう、ご相伴に預かっていいかしら」 |
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「そそられんなよアンタも……ところでさあ、チョココロネって、みんなドコから食べる？」
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「え？」 |
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「いや、太いほうから食べるのか、細いほうから食べるのか、いろいろ食べ方があるじゃない。ちなみにアタシは細いほうから食べる派なんだけど、みんなはどうやって食べてるのかなー、なんて思って」
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「はーい！ シコメはね、昼ごはんの時にそとがわを食べて、夜ごはんのとき白めしに『ごはんですよ』みたく中身をかけて食べまーす！ なぜかとゆーと、びんぼうだから！」 |
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「……悪いこと聞いちゃったね。なんかゴメン」 |
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「うーん、あたしもシコメちゃんに近いかも」 |
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「えっ、ウズメ姐さんも中と外を別々に食べるの！？」 |
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「別々に食べるというか……あたしの場合、外側と中身を分別して、外側の味のしない部分にジャムやバターを塗って食べて、中身のミソみたいな黒いものは食べずに捨てるわ。あたしってカニミソとかの内臓系は好きじゃないし」
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「あれはミソじゃなくてチョコ！ そもそもそれじゃコロネを食べる意味がねーよ！」 |
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「えっ、そうなの。てっきりチョココロネって、大きな毒蟲か、もしくはなにかしらの腔腸動物・棘皮動物のたぐいだとばかり思っていたわ。中身の黒いぐちゃぐちゃも臓物だとばかり」 |
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「なんでそんな奇怪な蟲の屍肉をパン屋で売らなきゃならんのよ。まったくもう、ウズメ姐さんは変なところで博識なのに、こういう一般常識的なところでは危機的なくらい無知というか……」
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「しゅたたーっ、もうけたゼーッ！」 |
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「あーっ、シコメなにすんのよ、アタシのサンドイッチ返しなさいよーっ！」 |
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「これは落ちてたんだよー。落ちてたサンドイッチを拾っただけだもんねーっ。ぐひひーっ」 |
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「落ちてた……って、テーブルの上に置いておいただけでしょ。言いがかりはやめなさいよ」
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「待って！ ……何を言ってもムダよサグメちゃん。彼女には今、つるピカハゲ丸の霊が取り憑いているようだから」 |
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「えーっ、まさかあの、連載初期はまだふつうのおもしろ節約術、いわゆる『つるセコ』で読者の笑いを誘っていたものの、連載が長期に及ぶにつれて次第に吝嗇ネタも尽き、後期には“魚屋のおっさんがよそ見したスキに店頭のサカナを奪うことによって夕食代を節約する”などといったセコいとか節約とかそれ以前にただの犯罪だろうそれ、と読者がツッコまずにはいられなかったネタのオンパレードだったというあの『つるピカハゲ丸』の主人公、ハゲ田ハゲ丸が取り憑いているですって！」 |
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「よよよ、かわいそうに、チョココロネを二食に分けて食べるような貧乏すぎる身の上のため、ハゲ丸に取り憑かれる心の隙を生んでしまったのね」 |
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「ぐひひ、神社の手水鉢さえあれば風呂はいらないぜーっ」 |
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「あーっ、シコメが手水鉢の前でするすると袴を脱いでるよっ！」 |
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「せこー！ ……なんて、昭和的高角度から勢いよく後方にズッこけている場合ではなくてよ。ほら、急いで行って彼女の脱衣を止めるのよ、近藤くん！」 |
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「誰が近藤くんだよ！ まあいいや……こらーっ、やめろハゲ丸ーっ！ 神社でみだらな行為をするなーっ！」 |
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「うるさいなあ。こっち来んなよ、ブスねーちゃん」 |
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「ぶっ……誰がブスねーちゃんだよ！ もう怒った、完全にキレたよアタシは。具体的にいうと、コミックス35巻の東方仗助くらいキレた！ このスッタコがぁ〜〜ッ」 |
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「サグメちゃん落ち着いて！ 巻数だけじゃわからないじゃない！ 岸辺露伴に髪型をけなされたときの仗助ってちゃんと言わなきゃ！ ……いいえ、論点はそこじゃなかったわ。ええと、そう、シコメちゃんも言いすぎよ！ ブスねーちゃんは言いすぎ！ せめてとなり田じーさんぐらいに訂正してあげなさい！ って、ああっ、あたしってなんだか仲裁下手！」
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「モンゴルの英雄チョイバルサンを憑依させて放つ渾身のエネルギー波、ウランバートル・キャノンでシコメごと焼き殺してやる！ くらえっ、ウランバートル・キャノーンッ！」 |
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「ちゅどーん。ぎゃー」 |
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「うはは、思い知ったか」 |
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「ちょ、サグメちゃん！ なんてことを！」
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「……ぐひひ」 |
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「あっ、まだ生きてる！」 |
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「ブスねーちゃんの放った熱光線のおかげで手水の水もいい湯加減のお湯になったゼー。光熱費が浮いてナイスだゼー！」 |
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「せこーッ！」 |
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