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「というわけで、『週刊巫女さんニュース』のはじまりです！」 |
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「巫女さんなのに神事をかまけ、今週一週間のニュースをピックアップしてお伝えします！」 |
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「で、ウズメ姐さん的には、この一週間で最も印象に残ったニュースはなにかな？」 |
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「えーと、あ、これ。『こんにゃくゼリーのミニカップ製造中止の動き』」 |
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「もっと大きなニュースがいろいろあっただろうに、よりによってそれかよ」 |
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「『ヘルシーなのにおいしい』という天に二物を与えられた稀有なたべものなのよ、こんにゃくゼリーは。そんな神さまからも愛されているこんにゃくゼリーさまを製造中止に追い込むなんて、野田聖子消費者行政担当相は神をも恐れぬ根性のひんまがったマガツヒノカミだと思うの」 |
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「でもまあ、実際にこんにゃくゼリーを喉に詰まらせて幼いお子さんが命を落としているわけだしねえ……」
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「幼児や乳児に食べさせるなと注記があるのに、わざわざそれを食べさせる保護者こそとがめられるべきなのよ。いつまでたっても神国日本に謝罪と賠償を求め続けるばかりの思考能力の停止した三国人みたいに無知で無教養な劣性消費者のせいで、一般消費者のささやかな幸福を奪われるなんてもううんざり！」 |
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「こんにゃくゼリーの話ごときにまで姐さんの偏った思想をにじませないでよ。もっと穏便にいこうゼー」
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「でもでもー、特ア連中の泥棒根性の卑しさときたらー」 |
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「ちょっと！ 話をへんな方向にもっていかないでってば！ お願いだからこんにゃくゼリーの話だけしていてちょうだい！」 |
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「グロロロ……」 |
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「あっ、ずいぶん静かだと思ったら、シコメちゃんが白目を剥いてネプチューン・キングみたいな呻き声をあげているわ。……これってもしかして」
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「そう。『週刊巫女さんニュース』の一番の特徴は、ニュースの当事者の生霊を降霊して、事件の真相や特ダネを直接聞けちゃうところなんだよ！」 |
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「じゃあもしかして今、シコメちゃんに憑いているのは……」 |
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「グロロ……アイアム聖イング……アイアム聖イング……」
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「ああっ、二十年前に出版したばかみたいな著作のタイトルをはずかしげもなく連呼しているということはまさかっ！？」 |
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「いかにも！ きたれ、野田聖子消費者行政担当相の生霊よっ！」 |
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「オロローン！ 野田聖子じゃーい！」 |
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「ああっ、書いている人の取材が圧倒的に不足しているせいで、キャラクターが本物からかけ離れている気がする！」
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「知りたいことがあればあちきになんでも聞いてくなっせ。どっせーい」 |
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「ああっ、取材が徹底的に不足しているせいで、なんかもう尾玉なみえのまんがに出てくる人格破綻者みたいなかんじになってる！」 |
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「ちょっと野田さん、きいてます！？ あたしのこんにゃくゼリーさまになんてヒドいことをするんですか！」 |
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「ああっ、あれを一人前の野田聖子として認め扱うとは、さすが姐さんだ。なんたるふところのデカさ！」 |
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「ぷぷぷ。こんにゃくゼリーごときでそんなにアツくなって、とんだ純情パインちゃん。その若さ、いつかあなたを殺すわよ」 |
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「おもちのほうが毎年たくさん死者を出しているのに、どうしてこんにゃくゼリーばかりを目の敵にするんです！ 筋道がまったく通っていないじゃありませんか」 |
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「とくとみなっせ、おてんば聖子の自由奔放なマキャベリストっぷり。マンナンライフなどわが覇道に転がる小石のひとつにすぎぬわ」 |
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「んぶぶ。おのれの覇道のためにはヘルシー食品をヘルシー食品とも思わぬその非道ぶり。もう許さないんだから！ そこになおりなさい！」 |
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「ちょ、姐さん落ち着いて！ 破魔矢で人を狙っちゃダメだって、こないだも宮司さんに怒られたでしょ」 |
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「……」 |
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「わあっ、だからといって急に落ち着かないで！ どうしたのよ？」 |
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「わかったのよ」 |
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「え、なにが？」 |
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「逆に考えるのよ。この消費者行政担当独裁者を逆に利用してやるのよ！」 |
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「どゆこと？」 |
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「ごく少数でも、過失があろうとなかろうと、喉に詰まったという既成事実さえ作り上げれば、この日本からあらゆるものを抹殺することが出来るというこの狂気のシステム。野田のヒステリックな国民甘やかし策の前には常識も民主主義もまるで無力。ということは……ちょっと待ってて！」 |
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「どこへ行くのよ？ ……って、もう戻ってきた。あれ、隣にいる方はだれ？」 |
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「何代も前から日本で暮らしながらまったくこの国に帰属意識を持とうとしないという、そんなふしぎなメンタリティをお持ちの某国人のキムさん。そのへんのパチンコ屋から拉致してきたわ。彼らがあたしたちに対してよくやるみたくね」 |
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「余計なことは言わなくていいから。その人をどうするつもり？」 |
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「くらえっ、野田聖子！ キムさんをくらいなさいっ！」 |
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「ぐぼぼ、ぐぼっ」 |
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「こらーっ、野田聖子の口にキムさんを丸ごと詰め込もうとするのはやめなさい！ ってか、どだい無理があるだろ！ 人食い土人のサムサムじゃないんだから」 |
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「えいっ、えいっ。キムさんが野田聖子の喉に詰まれば、こんにゃくゼリーの怨敵・野田大臣の命は露と消え、キムさんの同胞はわが国で出荷停止となる。なんてすてきな一挙両得！」 |
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「何をそんなバカなこと……ほんとうにバカな……あれ……ちょっと待ってヤバイヤバイ」 |
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「ん、どうしたのサグメちゃん？」 |
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「ヤバイ、超ヤバイ、姐さんアタシわかっちゃった！ さらに逆に考えるんだよ！ 野田の喉に詰まらなければ、その詰まらなかった物はこの国では出荷を規制されないってことだよね！」 |
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「うーん……そうなるような、気がしないでもないわあ」 |
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「さすればこれを食え野田聖子！ 喉に詰まらせずに食え、このやろう。嚥下機能フルパワーだこのやろう」 |
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「グホッ、グホッ」 |
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「ああっ、それはサグメちゃんが社務所の裏で丹精こめてこっそり育ててるなぞのはっぱじゃない！ 直接食べさせて大丈夫なのそれ！？ 普通はいぶして吸ったりするんじゃないの？」 |
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「ガンジャ、ガンジャ」 |
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「ああっ、大臣の顔色が急速に土気色になっていく……」 |
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「……かくん」 |
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「……こときれたようね。あーあ。サグメちゃんが食べ物じゃないものをむりやり食べさせようとするからー」 |
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「それをいうならキムさんのほうがよっぽど食いもんじゃないし。……うーん、やっぱりこのはっぱ、日本に出荷できないはっぱなのね。がっかり」 |
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「でも、野田大臣の死はむだではなかったようね。身をもってサグメちゃんにはっぱの違法性を知らしめた野田大臣……やはりひとかどの政治家だったようだわ。ありがとう、野田大臣！」 |
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「うん、はっぱはよくないってことがよくわかったよ。ナマでわしわし食うと喉に詰まるしね。野田さんのおかげだよ。ありがとう、野田大臣！」 |
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「ありがとう、自由民主党！ ありがとう、麻生内閣！」 |
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