2月3日(火)

 



  週刊 巫女さんニュース

●●●登場人物●●●

ウズメさん
巫女さん(21) 
年長者で国粋主義者 
主な口寄せキャラはトキワ荘の人々
愛国精神が目にあまる

サグメちゃん
巫女さん(18) 
ケミカルなナゴムギャル 
主な口寄せキャラは蒙古人チョイバルサン
THE TIMERSをリスペクト

シコメちゃん
巫女さん(14) 
PTSDの幽霊族
主な口寄せキャラは低級動物霊
胃にカメレオンを飼っている

〔すべての作画:うそつきさん〕



   

「というわけで、今週も『週刊巫女さんニュース』の時間がやってまいりました」

「巫女さんなのに神事をかまけ、今週も一週間のニュースをピックアップしてお伝えします!」
「……っていうか、前にこれやったの去年の10月とかじゃなかったっけ? ぜんぜん週刊じゃないんですけど」

「ホントは毎週収録しているのよね、あたしたち。でも、なぜかいつもいつも放送が無期延期されてしまって……」

「ウズメ姐さんが特定アジアの悪口ばっか言うからぜんぶお蔵入りになってんだよ。もっときちんと歯に衣を着せてください」

「いいえ、ジャーナリストとして言うべきことははっきり言わなきゃいけないと思うの。そう、大和撫子の最終究極形態・櫻井よしこさんのように!」
「あんたのメインジョブは巫女でしょうが。あくまで巫女メインでやっていこうよ」

「でもでも。三人全員が巫女さんって、あたしたちのパーティーはバランス悪過ぎると思うの。やっぱりジャーナリストや市民団体や肩書ばかりのNPO法人といった声の大きな前衛ジョブがパーティーには必要よ」
「なにを言っているんだ」
「でもあれよね。国籍法のせいで種族の変更も容易になっちゃって、ゲームバランス総崩れよねー」

「改悪パッチで一気にクソゲー化した!」

「だから何を言っているんだ。……あんたたちがアレなことばかり言うから……ほら、二束三文の無害なニュースしか紹介させてもらえなくなっちゃったんだから」
「あ、これが今回紹介するニュースね。なになに。“抱きたい『ドラクエ』シリーズのキャラクターベスト10、ついに判明!” こ、こんなニュースからどうやって憲法九条問題に話をもっていけばいいの田母神さん!?」

「だから持っていかなくていいんだってば! ぶなんに流せよ」
「はー。あたしもまだまだね。むりやりにでも論旨を展開してゆく技術がぜんぜん未熟。アバハウスの懸賞論文にも落ちるはずだわ」
(出してたのか……)

「でもまあ、あれよね。ニュースの件に関しては、一位のビアンカは順当よね。でも、個人的にはムーンブルクの王女かミネアの二択!……って氏子のHさんが言っていたわ」
「誰だよ氏子のHさんって。……まあいいや。しっかし、10位にイシスの女王っていうのがまたマニアックだねー」

「イシスの女王は気位が高いばかりで魅力に乏しい。しかしムーンブルクの王女は高貴な王女属性と犬属性を兼ね備えた稀有な存在だ、って氏子のHさんが言っていたわ」


「だからいいよ、別に氏子の話を代弁しなくても」

「聖性と獣性の二律背反がたまらないそうよ」

 

「もういいってば! 氏子がどういうタイミングで巫女さんにそんな話すんだよ!」
「薄暗い馬車の中で、ミネアみたいな陰気な女と交わす言葉もないまま寄り添いあって一日中車窓を眺めて過ごす旅というのも正直たまらないものがある、って氏子のHさんが言ってた」
「お前もか! アタシの知らないところであんたらは氏子のHさんとどんだけ親しく交わってんだ」

 

「でもこのランキング、女性視点の“抱かれたい『ドラクエ』キャラクターランキング”がないんだね。あたしたちでやってみましょうか」
「なるほどー。じゃ、それぞれ“抱かれたいドラクエキャラ”をせーので言いあいっこしようか」
「うん」
「せーの……」
「オルテガ!」
「VIIの勇者!」
「キングレオか、きりさきピエロ!」
「……」
「……」
「……」
(……ファザコン?)
(……凌辱願望?)
(……ショタ?)
「……あー、あたしちょっと間違えたかも」
「うん。アタシも間違えた」
「まちがったー」
「じゃあもう一回、せーの」
「カンダタ!」
「りょうしのむすこ!」
「アームライオンかキラージャック!」
「……」
「……」
「……」
(……色違い)
(……色違い)
(……そんな職業ありかよ)
「……さて、そろそろ帰ろうかしら(こんな変態性欲の持ち主たちには付き合っていられないわ。早く帰ってチャンネル桜でも観ようっと)」
「アタシもかーえろっと(やだやだ、この異常性愛路線どもめ。早く帰ってハッパでもキメようっと)
「シコメも帰る〜(りょうしのむすこを一個の職業と認めうるなら、サラリーマンの息子や自営業の息子も正規の職業となり、ニートという概念じたいが消失する……就業率向上の糸口を思わぬところで見つけちゃった。早く帰ってつぎの選挙に立候補する準備をしようっと)」
「さよならー(さようなら、変態さんたち)」
「さいならー(じゃあな、変態ども)」
「さいならーっきょ(おうおう、票田にそよぐ稲穂どもが風にゆられて何やらさんざらめいておるわい)」
   
   
   
   


  今回は自粛要素ゼロの平和な内容なのでとても満足している。