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—ね、最近のヒモロギさんときたら… —ああ、あすこの家のどら息子ね。 —あの人、十五歳の女の子とＰメールのやりとりをしてるんですって。 —まあまあ、いい年してはれんちな。来年年男のくせして、 —キン肉マンおたくのくせして、女子高生と話題が合うのかしら。 —あうわけ、 —ないわよ、 —ねー。 などと、近所の井戸ばた主婦連の間にゆかいな話題を提供し続ける宮城の純一こと、不肖わたくしヒモロギです。あ、シドニー五輪と比べたら、アーノルド坊やのはなくそみたいにちいちゃな話題でしたね。すまん主婦。 僕のあまり活用していないＨ゛に届いた彼女の「メルトモニナリマセンカ」に律儀に返事をしたがために交流が始まり、夢は美容師とかいう話を聞いてはてきとうにエールを送ってみたりして、妙にどうでもいいかんじのコミュニケーションがわりと楽しかったりするのですが、あまりに頻繁に送られてくるので返事が、なんか、めんどい。 ナショナリズム燃え燃えサッカー観戦中に女子高生から「カミナリナッタンデス、コワーイ！」とかいうメッセージを送られても、僕のほうとしてもいかんともしがたいわけで、「カミナリデデンパガヨワマッテルネ」などとわけのわからぬ理由をつけて受信ができないことにし、Ｈ゛の電源をオフにしてニコニコ日の丸の旗を振っていたりするので、僕らのかんけいは、そう長くは続かないと思うんです。 それでいて、妙に僕の彼女の有無やら恋愛観やらをしつこく聞いてくるのは、もしや僕を紅顔の美青年と勘違いし、僕を相手に勝手に恋に恋して酔おうと目論んでいるのではなかろうか、と紅顔の美青年ではない僕は不安に駆られ(いらぬ心配)、勝手に美化されてしまっては罪悪感がつのるや(いらぬ世話)ということでその旨を伝えるメッセージを作成したところ、Ｐメールはカタカナ、かつ20字くらいしか送れないため、僕のメッセージは「ボク、コウガン、チガウノダ。」となってしまい、「コウガン」が「紅顔」でないほうの「コウガン」にとられる可能性があり、いわゆるただのセクハラおやじであるので、けっきょく送るのをやめました。 あざやかにオチのつく日々の生活なんか、僕、求めていませんから。 |