こんな占いを書く奴も書く奴なら買う奴も買う奴ですが、本屋で黙々と読む奴も読む奴ですね。それは僕です。イッツミーです。英語で言ったところで恥ずかしさは増すばかりです。くだんの本を戻す時、隣で別の本を物色していた女性と目が合い、彼女の視線が僕の戻した「守護おばけ占い」に移り、かすかに口の端が歪むのを見るにつけ、僕はなんだかもういたたまれなくなり、火照った顔を両手でおおいながら目当ての本を探すことも忘れて逃げるように本屋から飛び出したのでした。
　どうだうぶめよ、こんな僕を守護してみよ。守護してみるがいいさ。

　臆面のないやっつけ山師しごとに怒りを覚えつつも、アレがアリならＵＭＡ占いや宇宙人占いもアリだよなあ、などとそれぞれの守護ＵＭＡや守護宇宙人の候補と性格分析を考えてしまったりするあたり、僕もどちらかといえば山師系なんですが、できれば山師系よりもインテリ系のスマートなイケメンになりたいと常々思っています。つねづね。

　つねにかしこく時に冷酷なインテリという存在にあこがれ続けてきました。中学生の時はガリ勉の「ガリ」という語感にあこがれ、思わず一生けんめいガリガリ勉強してしまいました。小学生の時はマッドサイエンティスト。僕のあこがれるものはどうも常にズレていて、しかもどれもメガネを連想させる存在であります。あー、なりたいなあインテリ。

　インテリ三種の神器といえばメガネ、本、フランス映画と相場は決まっているのですが、というかさっき決めた相場なんですが、今はコンタクトだし、本屋には今日はもう行きたくないし、残ったのはフランス映画だ！　ということでツタヤでフランス映画を借りてインテリ経験値を稼ぐことにしました。フランス映画をメタルスライムの親戚あたりとしか考えていないあたり、僕のインテリ熟練度はまだまだのようです。

　で、なんとなく手にとったフランス映画『奇人たちの晩餐会』を借りて観ました。なんの予備知識も期待もなかったんですが、なんのなんのこれがもう大当たりでした。あまりに面白かったので三回繰り返して観ましてこれはもう大満足！

　ひとつ問題なのは、この映画はフランス産はフランス産でもインテリ経験値を得ることのできるであろう「芸術映画」というジャンルとは程遠いところに位置するコメディ映画である、という点でしょうか。むしろ山師けいけんちのほうが上がったかんじです。

　ええいこうなったら、インテリも山師もきわめて上級職のインテリ山師を目指しますゾ、というオチでした。オチにドラクエをもってくるあたり、インテリには程遠いおつむですね。天地雷鳴インテリ山師。