「この度は皆様方にご迷惑をおかけしまして」 と三田佳子に言われてもなあ。「皆様方」というのはマスコミ各位、あるいはそのマスコミ報道を茶の間でせんべいをバリバリかじってお尻をポリポリかいたりなんかしている我らおろかな一般大衆を指しているのだと思われるのですが、果たして僕などは何かご迷惑をかけられたのだろうか、ということを考えてみるに何の迷惑もこうむっていないんですねこれがまた。たしかに三田さんの息子はクルクルパーですが、ただ単にクルクルパーなだけであってそれ以上でもそれ以下でもなく、彼のせいで僕まで芋づる式に逮捕されたりとか、あんな人になっては困るからと月五十万の小遣いを三十万円カットされたりとか、そういうことはまずもってないわけで、ねえ。

　となると、あの謝罪はマスコミのみに向けてなされたものなのでしょうか。でも、それもおかしな話であって。マスコミ各位はクルクルパーな息子をネタにすることによって口を糊することができているわけであるので、むしろマスコミ各位が争って三田佳子にお礼のファックスを送るほうがスジだと思います。

「あなたの息子がパープリンなおかげで、私たちはネタと優越感と正義感と日用の糧を得ることができました。私たちに日々のパンを与えてくれる息子さんにさちあれ！」

とかいって。ね。

　あー、どうしてもちくちくアイロニックになってしまってうつくしくないや。

　僕は有名税も払っていないくせしてマスコミが嫌いなので、もし何かの拍子で有名になってしまったあかつき(『ＵＭＡ占い』で一躍時のひとになるとか)には、僕を取材するマスコミの人たちは僕の歯型をあちこちにつけて泣きながら報道デスクに逃げ帰ることになると予想されますが、もしもボックスが発明されない限りヒモロギさんは時の人にならないと思われるので、マスコミ関係への就職を希望している方があれば、どうぞそのまま頑張って夢を叶えてくださいね。僕は噛まないよ。

　あーもう、だから、面接試験で「取材に必要なものは？」と訊かれても、決して「噛まれないよう、猿ぐつわを持っていきますっ！」とか「ＳＭの小道具の、口にハメるやつが必要ですっ！」とかフレッシュに叫んではなりませんってば。若さゆえの、でカバーできるものとできないものがあるということを知るべきです。というか、 第一そんなものを装着してしまっては肝心の相手の話が聞けません。プレイよりもインタビューが先にきてこそのマスコミなのですから、「熱意と努力です」とか無難に答えるようにしてくださいね。