3月12日(月)


 ワラビ、ゼンマイ、ウド、タラノメ、葉ワサビ、フキノトウ……とれたての旬の山菜と大根おろしを和え、素材の風味を生かすため味付けはしょう油を少々たらすだけ、口の中に広がるひと足はやい春の風をどうぞご賞味あれ! といったかんじの山菜料理だと思ったら違うんですって「森おろし」って。アラいやだ。

 「森おろし」っていうのはね、森さんという名まえのそうり大臣を辞めさせようとしてまわりの人たちが一生けんめいにひねるヘタウマとんちの数々なんだよ、と子供むけニュースみたいなやつを観てまなびました。へーそうなんだ勉強になるなあ、とお尻をぽりぽりかきながら大人向けのニュースも観ていたんですが、僕がふと疑問に思ったことは、「IT革命って、どうなるの?」ということなんです。暗愚ないち大衆なので政治のこととかあんまりよくわかんないんです。誰か教えてください。

 僕の地元はいまだADSLの通信環境が整っておらず、アナログ回線+テレホーダイという貧弱通信環境でもって夜の十一時(テレホタイム)がやって来るのをパソコンデスクの前で今か今かとひたすら待つこと只管打坐、雨の日も風の日も毎日正座でじっと我慢の子であった、そんなかんじのまるで改札口で毎日主人の帰りを待つ忠犬ハチ公のような生活をかれこれ四年も続けているわけなんですが、その割に誰も誉めてくれないし銅像も建ててくれないので不満に思ってもいるわけなんですが、人の世界でも忠犬の世界でも「死ねばカリスマ、老いさらばえばただの人(犬)」のルールは普遍なんだなあ、などと自分の命と名誉欲とをハカリにかけて今日も今日とて絶妙のバランスなんですが、そんなことはどうでもいいんですがさて本題、どうやら近日のうちに僕こと忠犬ヒモ公のご主人さま(インターネット回線)が太くなるそうで、どの部位かは知らねどそれはそれはご主人さまったら極太にならせられる、そして夢にまで見た24時間常時接続、これでご主人さまを待ち続ける必要がなくなるワン、座敷で日がな一日ホネっこでもしゃぶって悠悠自適だバウワンコときたもので、それというのもこの素晴らしき劇的変化は通信回線の光ファイバー化によってもたらされ、つまりは現行総理大臣の掲げる政策の一環としてなされるわけで、やったぜ総理大臣、にくいねこの蜃気楼ガエル、どっこい生きてる密室の中! などと喝采しつつ僕はIT革命の未来と森政権の行政をにこにこワンワンしっぽフリフリ賛美していたわけなんですが。光ファイバー敷設を待ちに待っていたんですが。ですがね。

 今回の退陣劇は、果たしてIT革命の推進、光ファイバー敷設計画を遅延あるいは中断させる要因になりうるのでしょうか。たぶん一連のスケジュールは決定済みで遅れることはないだろうとは思うのですが、もし遅れるということであれば現行の首相は任期をまっとうしてほしかったなあ。そもそも僕は通信環境が整いさえすればあとはどうでもいいので、日本がどうなろうと株価がどうなろうとえひめ丸がどうなろうとどこ吹く風よ、人非人だ非国民と罵られたところでどうせ小生ヒトにあらざる犬コロだワン。無知なわんこの求めるものはただ一つ、健康で文化的な最低限度の(インターネット)生活だけなんだけどなあ。ワン。

 というわけであーあ、田中真紀子を次の総理大臣になって欲しい人アンケートの第一位におしあげるような大衆と、厚底靴のコンビニ強盗のニュースに「コギャル強盗 凶器はどら焼き」というテロップをのせてトップの政変ニュースの次にもってくるようなマスコミ(cf.ニュースプラスワン)のせいで、僕のうきうきインターネットライフの実現が先のことになるかもしれないと思うと僕あもう腹が立ってしかたがないので、大衆とマスコミはせいぜい自分たちで和製ヒトラーでも見つけてきて奉っていればいいのだとひとり毒づいてみました。森は森で、わけのわからない答弁をしている暇に復権を目指してロンギヌスの槍でも探しに行けばいい、とひとり毒づいてみましたが、これはやや見当ちがいでしたよ。永田町どころか世界まで支配しちゃうじゃん! それ世界! などという自己ツッコミも、ポイントがややはずれていましたよ。