|
いやあ泣けます『プロジェクトＸ』。 いまだやりたいことの見つからないモラトリアム野郎の小生などは、一生涯の仕事を見つけそれに邁進する男たちのかがやく後ろ姿見たさに毎週毎週火曜の夜9時15分にはチャンネルをNHK総合にロックオン、前傾姿勢で手にはハンカチ、ガチンコ視聴モードでパイルダー・オン！ といった目にありあまるたたずまい。さてさて今夜のプロジェクト、聞くも涙、語るも涙、その名も高き『広辞苑』のできるまでだっ！ 刮目だっ！ 観た方も大勢おられることでしょうし、再放送もあるでしょうから内容は割愛。僕が最も感銘を受けたシーンのみ紹介します。 それは、すさまじいまでの「ことば探し」に明け暮れ、晩年入院を余儀なくされた編集代表の新村猛氏が、病床で自身の細い腕につながる点滴を見て、いまわに放ったその言葉。 「点滴という字は広辞苑に載っているか？」 これが男の仕事なんだね兄さんっ！ などと、滂沱の涙をぬぐいもせずに一人叫んだものですよ。とにかく感きわまっていたということで、僕に兄さんなどいない、といった発言の事実無根はごあいきょう。いやはやとにかく、男子たるものこういった死に方をしたいものです。 僕もネット上で事典なんぞを公開している身であるので(もちろん広辞苑とは比べるべくもない手なぐさみにすぎないのですが)、今回のプロジェクトは通常より感情移入して観ることが出来ました｡で、僕もこの先ずっとコツコツまじめに事典作成を続けていけば、こんなかっこいい死に方が出来るかしら、などと夢想し、事典作成継続の意欲をフツフツとたぎらせた、そんな一日でありました。 とりあえず、僕のいまわの言葉が 「ゲドガキノバケモンという妖怪は怪力乱神事典に載っているか？」 「ウンモ星人という宇宙人は怪力乱神事典に載っているか？」 「ハラボテ・マッスルという超人は(以下略)」 などとなってしまわぬよう、そのへんのどうにもしまらない怪力乱神どもは早めに事典に補完して不安の芽をプチプチつぶしてゆきたいと思います｡
|