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さあ、次の新企画を考えよう！ アクセスを稼ぐには大衆に媚びろ！ といったかんじで、IQの十の位が若干おとなしめな大衆さんオブ大衆さんであるところの女子中高生さんあたりを軽く手玉にとってアクセスさんを倍増させたいと思う所存でございます。 コギャル、汚(お)ギャルときて、これに続く第三のギャルといえば、第三次○○ギャルムーブメントといえば、「藻(も)ギャル」であることはもはや自明の理なわけです。語呂的に。よって藻ギャル向けコンテンツを作りさえすればアクセス倍増どころの騒ぎではないわけです。先見の明。 藻ギャルというのは読んで字の如し、藻が好きなギャルのことです。「やっぱりアチキってー、藻とか超好きだしー」みたいなギャル。説明するまでもないっすね。なにしろムーブメントだから。 そんなギャルにとって聖地ともいえる場所といえば、これまた説明するまでもないんですが、腐臭ただよう褐色の藻が海一面を覆うサルガッソー海です。藻ギャル：ボディコンギャル＝サルガッソー：ジュリアナ東京、といった比例聖地式を持ち出すまでもなく、藻ギャルはいつしかサルガッソーを制覇することを夢見ているわけです。藻ギャル的に。藻ギャル的にね。 しかし、サルガッソーの別名「船の墓場」が示すとおり、そこに行って無事に還ってきた船は殆どありません。一日中湿った濃霧と藻の臭気に包まれ、日の光さえもかたくなに拒むサルガッソー海、そこは船の墓場！ 常に無風状態のサルガッソーでは帆船の帆は無用の長物と化し、文明の利器スクリューでさえひとたび藻が絡み付いてしまえば前に進むことを簡単に諦めてしまうのです。そんな危険な海であるにもかかわらず、昨今の藻ギャル増加に伴い、サルガッソーへと乗りこみ、そしてそのまま消息を絶ってしまった無謀な家出少女の数は決して少なくないといいます。 「それでもアチキときた日には藻とかオニ好きだしー」 藻は好きだけれど命は惜しし、な藻ギャルたちがワラにもすがる思いでインターネットで検索するわけですね、「藻/サルガッソー/死の海」とかいう絞込み検索で。そうして、検索にひっかかった唯一のサイト、それこそが我が「死せる魂の会」！ 「えっ？ マジ？ 『サルガッソーまでオフ航海しましょう！』ってナニコレー」 全国1000万人の藻ギャルたちはこぞって狂喜乱舞。それにあわせて僕のプロフィールも 「はじめまして。エイブラハム・ヒモロギ船長といいますオーキードーキ。サルガッソーをバルサ材のイカダで横断、無事生還したのは世界史上ボクだけみたいです。好きなものは藻、趣味は藻、好物は藻、でっす！」 みたいな滅茶苦茶な文と差し替えてあり、藻ギャルは 「マジマジ！？ めっちゃすごくない？ カレって藻ッズ系？ 藻ッズ系？」 と僕の藻ッズぶりに大興奮。さらにサイトを読み進めていくと「船長のサルガッソー航海日誌」みたいなのもあったりなんかして、 「9月7日 曇り ヨーソロ。今日も新種の藻をゲット。ていうかココ、未知の藻しかねえ。すげえ藻。藻ッズ天国！」 「9月23日 曇り ヨーソロ。今日は安息日だというのに、霧の向こうがなにやら騒がしい。どうやらマッコウクジラと大王イカがケンカをおっぱじめたらしい。頼むからこっちにはこないでくれよヨーソロ……」 「9月26日 曇り ヨーソロ。船体にへばりついた藻をつたって、見たこともない奇妙な蟲どもが海の中から続々と這い上がってきやがった。俺は気が狂いそうになりながらも船中を走り回って蟲どもを叩き殺してまわった。潰れた蟲の死骸から染みでた黄色い体液の放つ異臭のせいで、今日は食欲が出ねえ。尤も……食欲を満たしてくれるほどの食料なんてもうこの船には残っちゃいねえンだが……」 「10月2日 曇り ヨーソロ。もう方位も方角も全然わからねえ。水もねえ。食い物もねえ。あるのは幽霊船からかっぱらってきた宝石だけだ。ホーリーシッ！ 一体全体こんな石コロがこの魔海で何の役に立つというんだ……俺は宝箱にギッシリ詰まったサファイヤやルビー、オパールといった宝石類を鷲づかみにすると力任せに藻の海に投げつけてやった。するとその刹那、大きな水泡と共に見たこともない醜悪な怪魚が赤黒い口を開けて海面に姿を現した。その口の大きさといったら、リスボンにある我が家のバスタブほどもありやがる……恐ろしい……いつかは俺もこいつらの腹の中に収まってしまうのか……」 みたいな嘘八百がえんえんとつづられ、藻ギャルはすっかり魅惑のサルガッソー海と藻ッズ系カリスマなエイブラハム船長(僕)のトリコになってしまうわけです。そうして、船長(僕)と一千人の藻ギャルとオウムのキャサリン(♀)を乗せた「第二メリー・セレスト丸」はサルガッソーに進路をとり、史上最大のオフ航海へと旅立つのでした。ボンボヤージ…… やめます、こんな新企画。だって、藻ギャルなんて、いないから。本当は、いないから。いない人種を対象にしたところで、アクセスは、稼げ、ない。 |