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国民年金を納めていないというトンガリキッズは僕の周りに誰もおらず、なんだか僕の老後だけヤなかんじになってしまいそうでアレなので、どうせならみなさんも年金を納めず、僕の提唱する「おめおめと生き恥をさらしてうっかり六十代まで生きてしまわないよう相互に監視しあう会」に入会するのがよいと思いました。なんたってノーフューチャーでカッコいい会だぞっ！ という書き込みを掲示板に書いたら妙に反響があったので、本腰を入れて「おめおめと生き恥をさらしてうっかり六十代まで生きてしまわないよう相互に監視しあう会」、略して「おめ六会」の設立に力を尽くしたいと思います。いや、やっぱし、力を尽くすのはちょっとめんどいなあ。力を尽くしたところでどうなるような会でもないからなあ。どうせ新コンテンツを作るんだったら、僕の好きな女優さんであるところの緒川たまきさんのファンサイトでも作っていたほうがよっぽど楽しいんだなあ、ということで、緒川たまきさん大好きサイトを作ることにします。た・ま・きー！ やっぱり「おめ六会」でいきますごめんなさい。緒川たまきさんはまた今度にします。というか、緒川たまきさんは僕だけのたまきさんなので他の人には極力彼女の魅力を伝えたくないです。うん、やっぱりおめ六会コンテンツがいいね。ゴー、おめ六会、ゴー！ 画：原哲夫  ネンキン村のミスミじーさんは、今までこつこつと納めてきた国民年金の受給資格をついに手に入れ、さっそく受給金をもらって意気揚々とネンキン村に帰ってきました。 つらいことばかりだったじーさんの人生。年金を払うため娘の貯金箱に手をつけたことさえありました。今では家族にすっかり愛想をつかされて孤独なやもめ暮らしです。それでもじーさんは、年金を受け取ることだけを夢見てがむしゃらに働いてきました。いまやじーさんの人生の目的は、年金受給、ただそれだけでした。 「すまんのう、役場のお兄さん。ワシの村はもうすぐそこじゃて」 じーさんは役所で年金を受け取ったとたん、一気に気がぬけて足腰が立たなくなってしまい、役所の職員におんぶされて村まで帰ってきたのでした。 「おお〜〜い。年金じゃ〜〜 年金じゃ〜〜」 おやおや、ミスミじーさんたら、年金をもらってほんとうにうれしそうです。  年金を受け取ったミスミじーさんは、いまやネンキンむらの英雄です。 今まで、年金を納めるために汗まみれの泥まみれになってなりふりかまわず働いてきたじーさんを、家族をはじめ村のみんなはまるで汚いものでも見るかのような目つきであざけり笑っていたというのに、ミスミじーさんが年金を受給したとたん、手のひらを返したような扱いです。 「じーさんばんざい！」 「じーさんスゴイ！」 「きゃー、ミスミさん結婚してえ！」 村はお祭り騒ぎでした。村中の誰もが、ミスミじーさんの年金のおこぼれにありつこうとして、あの手この手でじーさんに取り入ろうとしています。 「ふぉっふぉっふぉっ、人間なんぞこんなもんよ。ちょろいもんだわい」 さとりきったようなしわしわの顔で、ミスミじーさんはほくそえみました。今、この瞬間のために、じーさんは４０年間という長い年月を犠牲にし、身を粉にして働いてきたといっても過言ではありませんでした。  そこに現れたのが年金ギャング。かれらは年金受給者のいる村々をまわり、年金を強奪してあるく困った連中です。しかし、それも一つの生き方。年金をもらうために働き続けるのも人生ならば、それを奪い続ける人生もまたあってしかり。弱肉強食は自然のおきて。誰もそのおきてにあらがうことはできません。 「年金受給者はいねがー！？ 年金受給者はいねがー！？」  ギャングの来襲をまのあたりにして、今までじーさんを取り囲んでいた群集はクモの子を散らすようにめいめいの家に逃げ帰り、扉を固くとざしてしまいました。 「年金なんかより、じぶんの命のほうがよっぽど大事さ。くわばらくわばら」 「じーさんもおとなしく年金をギャングに納めたほうが身のためだぜ」 しかし、すっかり年金のとりこになってしまったミスミじーさんは聞く耳を持ちませんでした。 「だまれ！ この年金は、この年金はワシの人生なんじゃ！ 40年分の血と汗と涙の結晶をギャングなぞに渡してたまるものか！」 じーさんは村中を必死に逃げ回ります。しかし、じーさんをかくまってくれる家は一軒もありませんでした。 「がっはっは。足腰の立たない年金受給者から年金を奪い取ることなぞ、赤子の手をひねるよりたやすいことだゼー！」 「ワ、ワシの年金はぜったいに渡さん……」  騒ぎを聞きつけた役所の職員が村に戻ってきたものの、時すでに遅し…… 年金に目がくらんでしまったミスミじーさんの運命やいかに……  じーさんは年金ギャングにボコボコにされ、年金の入ったフクロを取り上げられてしまいました。 「ああん？ なんだあ、こりゃあ？」 フクロの中を覗いた年金ギャングの一人がとんきょうな声をあげました。 「中に入っているのは金じゃねえ。種モミだ！」 「な……なんじゃと！ そ、そんなハズは……？」 これにはミスミじーさんもおどろきました。 「チッ、このじーさん、ハズレ年金をつかまされやがった。おい、てめえら、もうこんな所には用はねえ！ ズラかるぜ！」 じーさんの年金に価値がないことを知ると、年金ギャングたちはやって来た時と同じように、はやてのごとく去っていきました。 「う…う あ…明日……明日が〜〜」 「年金」という名の「明日」だけを夢見て生きてきたじーさんの人生が、音をたてて崩れ落ちていきます。 「明日が……明日が〜〜〜〜」 ノコノコ戻ってきた役所の職員が、じーさんにたずねました。 「何があったんです、おじいさん？」  「ワシの……ワシの年金が種モミになっとる。これは一体どういうわけなんじゃ！？」 すがりつくミスミじーさんの腕を払いのけ、役所の職員は実におうへいな態度(はだか)で答えました。 「最近はナニ、高齢化社会っていうの？ その高齢化社会とかいうやつのせいで、受給者全員にお金がきちんと行き渡っていないみたいですね。ははは。それにしても種モミだけってオイオイ。ははは。ウケる」 「わ、笑うな！ ワシを笑うなぁ！ ワシの年金を笑うなぁ！」 泣きながら職員にくってかかるミスミじーさんの姿は、こっけいなほどあわれです。国民年金という名のかつての「神話」を妄信した者のなれのはては、かくもみじめなものなのでした。 「ワシの年金を、ワシの40年をどうしてくれるんじゃあ……」 「ええい、放せ！ 放さんか！」 何度はらいのけてもすがりついてくるミスミじーさんに業をにやした役所の職員はとうとう怒り出しました。 「てめえらに今日を生きる資格はねぇんだ！！」 さすがにその発言はどうかと思いますが、さしずめ役所の本音がポロリと出てしまった、といったところでしょうか。しょせんはお役所仕事、血も涙もありやしないのです。 これを聞いたミスミじーさんはさすがに意気消沈、がっくりと肩を落として荒野の彼方に消えたとも、サザンクロスタウンのKINGの居城から身を投げたとも言われていますが、さだかではありません。なんにせよ、以後ネンキン村でミスミじーさんの姿を見た者はいなかったということです。(おわり) みんなどうだった？ こわいよね。おそろしいよね。ミスミじーさんのようにならないよう、みんなも年金は払わないようにしようね！ 以上、おめ六会でした！ 追って「おめ六会」の具体的活動内容、会規なんかも紹介するよ！ お楽しみに！ 入会希望者はコチラで表明を！ 「おめ六会」バナーも募集しているよ！ どしどし応募してね！ |