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大学で健康診断を受けてきたのですが、どうしたことか血圧測定でひっかかり、再検査を申しつけられてしまいました。中学・高校を無遅刻無欠席で通した健康優良児の僕としてはけっこうへこんでおりますわけで。最高血圧145mmHgってなんなんだ。だめだ。もう死ぬ。僕死んじゃう。けっ、血液が……ごぶっ……ふ、沸騰するっ……！ あ、そうそう、死ぬといえばさあ(どんなマクラの振り方なのか)(ちなみに高血圧の認識のしかたも間違っています)、健康診断の際に体重も測定したんですが、先月家の体重計で量ったときより2キロも減っていました。なんというか、僕くらいのタッパで53キロというのはちょっとヤバいような気がするんです。そもそもごはんをあまり食べなくても平気な体質ではあるのですが、いくらなんでも、このままではなんとなく餓死してしまいそうな勢いです。もっとモシモシごはんを食わねば。 それにしても「なんとなく餓死」って。ああ、なんかちょっといい響きだなあ「なんとなく餓死」！ 『なんとなくクリスタル』や『無関係な死』みたいなかんじで、いっけん小説のタイトルのようです。現代の若者を覆うゆるやかな倦怠感を象徴しているようでもあり、じつにブンガク的です。よし書こう！ 社会小説『なんとなく餓死』！ 『なんとなく餓死』 ヒモロギ萬月 こむらがえりで目が覚める。全身がねばつくようにだるく、体の向きを変えることさえままならない。自分の体がもはや自分のものでないような、稲荷かなにかにでも取り憑かれてしまったような、そんな感覚だ。昨日の疲れが残っているどころの話ではない。寝ることによってむしろ昨日より更に疲れている。ただ寝ているだけでも確実に疲れていくのだ今の俺は。 喉の渇きを癒したいところだが、水差しとコップははるか50センチむこうのテーブルの上。そんな遠くまで這っていく体力はもはやない。俺は乾ききった唇を舌で湿らせ、 飽きた。やめた。 えー、そんなかんじで倦怠感まるだし大陳列のモッズ系やる気まるでなしアンチヒーローヒモロギさんの日記はだらだらと続くわけなんですが、つまるところ僕の体重が目減りしているのは最近の僕が食事を日に一、二度しか取らないせいであり、その理由をさらにつきつめて考えれば、メシなんてものを日に三度も食うのがめんどうくさいからです。めんどうくさいんです。ここで、人間の生命維持機構の欠点が浮き彫りになってくるわけですね。一日一回の補給でフル活動できる構造であれば僕だってうっかりやせ衰えることもなかったわけで、万一僕がなんとなく餓死してしまった場合、その原因の所在は僕の生に対する怠慢や生存欲求の欠乏のせいではなく、人体構造の欠陥にこそ求められるわけです。そこで僕は「神さま、人間設計ミスった説」を提唱するにいたりました。まったくもう、これだから神さまは。だいいち僕なんか、これも健康診断で判明した事実なのですが、24にもなって身長が2センチも伸びてしまいましたよ。なんつうかもう、設計ミスもいいとこだろう、みたいな。24年もたっちゃあクーリングオフもできないじゃないか。 |