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先日はじめて「ラ王」の新CMを観ました。酷い。こりゃ酷すぎる。 そのストーリーというか、げっそりするほどくだらねえ粗筋をいちおう紹介しておきますと、俺たちのジョーこと矢吹丈が段平のおっつぁんこと丹下段平氏と減量トレーニングを行なっているさなか、（たぶん）白木葉子に扮したユン・ソナがやってきて「ラ王」を薦めるわけです。したらば俺らのジョーときたら、段平会長をブン殴ってユン・ソナのもとに馳せ参じ、彼女の隣で鼻の下を伸ばしながら「ラ王」をおいしそうにほおばるという……って、ばかじゃないの。なめんな。こんなもん、紹介したくもなかったよ。キャラクターのロジックが滅茶苦茶だよ。商業主義に俺たちのジョーが殺されてしまったよ。 たかだかCMに青筋を立てるのも大人気ないかもしれませんが、今回にかぎっては、あのゴミCMを作ったやつを分子レベルまでナマスに叩いてやりたい。あまりにあまりに酷いので。 原作中においてジョーが減量を行なうのはたった一度、金竜飛戦の時だけです。ジョーは限界ギリギリのところまで追いつめられてしまうものの、かつて階級の異なる自分と対戦するために壮絶な減量を行なった（なおかつそれが夭折の一因にさえなってしまった）力石徹のことを思い起こし、そして、そしてですよ、宿敵であると同時にたった一人の友であった力石の名にかけて自らのウェイトと戦い抜くことを誓い、周囲の制止を振り切って、下剤を飲み、血液を抜き取り、そういう命の危険を冒して、遂に、遂に減量を成功させるわけですよ。やったー！ ぶちあたって砕ける波には優しさなど意味がないゼー！ ……そんなジョーが、たった一個のカップラーメンごときにひるむものか。CMごときに敬愛するキャラクターのロジックを覆されて黙っていられるか。ジョーと力石と梶原とちばとあおいと寺山とそして『あしたのジョー』を心の柱に突き立てる僕らファンを愚弄するのもいいかげんにしろ。いっぺん原作読んでみろ。ばか。うどん野郎。と。 葉子役にユン・ソナというのもこれいかに、です。ラーメンを薦めるという役割からいえば乾物屋の娘の法ちゃんを持ってくるのが妥当なのに（財閥の令嬢はカップラーメンの差し入れなんかしないと思う）、ユン・ソナのイメージにそぐわないからとか、ヒロインは葉子だからとか、きっとそういう単純な理由で「葉子＝ユン・ソナ」が決められたに違いない。なにからなにまで滅茶苦茶だよ。なにからなにまでふざけてる。そもそも、なんでユン・ソナなんだ。僕はこのユン・ソナとかいう、ワールドカップの開会式で感極まって泣くような娘の、「日本のオトコより韓国のオトコのほうが優しい」とか「日本のキムチより韓国のキムチのほうがおいしい」（まあ、これは本当でしょうが）とかいう一連の韓国＞日本発言に、狭量な嫌韓派としていちいちムカついていたんですが、なんなんだ、本当にもうなんなんだ、いいから帰れ。「ラ王」なんつうジャンクフードは同国人の金竜飛（ビスケットしか食わない）のところにでも持っていけよ。と。 えー、いまの僕は、「商業主義の食い物にされてしまった過去のガンダムシリーズを否定する時の富野由悠季監督」のごとき羅刹顔なわけで、ほんとうに怒っているんだ僕はっ。許せないんだよ日清がっ。大人ってやつはっ。大人ってやつはっ。ユニバースッ！ などと、中途半端なトミノ文体（倒置法を多用）でお茶を濁している場合ではないのです。僕はいまここで誓います。一生「ラ王」は食わない。もう一生、カップラーメンといったらペヤングソースやきそばしか食わない！ 食わないんだよ一生ペヤングしか（トミノ文体）！ 一生！ 一生だ！ 一生ペヤング！ 一生柔道着でランニング！ 一生四角い顔！ そして一生まろやか！ 一生もういっちょいっとく？ 一生押忍ッ！ とりみだしてごめんなさい。いちファンとして、悔しくてしょうがなかったんです。『あしたのジョー占い』なんかとちがって、CMというやつは望まなくても目に飛び込んでくるので非常に腹立たしい。二度と食うものか。 |