1月23日(木)

 しまった、いただいた年賀状の返事をまだ書いていない。わすれてた。

 高校に入ってからは「僕からは年賀状を出さない」「貰った人にだけ返す」というスタイルを貫いてきたんですが(単にめんどくさいので)、そういうことをしていると届く賀状の枚数もグングン減りますね。当然です。もともと僕は友だちをたくさん抱えて我が家のカルピスのごとくうっすい友情をまんべんなく延べ広げるタイプではなく、早い話がそんなに友だちが多くなく、そのうえただでさえ多くない友だちの大半が性酷薄な残虐超人みたいな人たちばかりなため、最近は年賀状なんかほとんど届きません。一枚も届かない年さえありました。いっぽうでうちの飼い犬デカメロン号にはかかりつけの獣医さんから「デカメロンちゃん」宛で年賀状が届いたりして、ああ、おれは犬っころよりも社会性に乏しい生物だったのか、と激しくショックを受けたものですが、それでもやっぱり書かないんだなあ年賀状。だってやっぱしめんどくせーじゃん。

 とはいえ、いただいた年賀状には返礼するのが当然の礼儀。そのくらいのことは下等超人の僕だってこころえているのですが、あー、今年はどうしよう。今ごろ「あけましておめでとう! 今年もヨロシクネ! おモチの食べすぎには気をつけよう!」なんつう文面の年賀状を出して、アホみたいだと思われないだろうか。いや、アホみたいどころか、まるでまるだしのむきだしです。

 こまったこまった。今から年賀状を出すだなんて、まるで僕一人だけ旧暦にのっとって生活しているようで恥ずかしすぎるわけです。そんな、ねえ、杉浦日向子だって新暦に従って生活しているというのに(たぶん)、なんで僕だけお江戸でござってなきゃならないんだ。まさにコメディーじゃないか。
 ……んー、どうにかして年賀状を出さないで、それでいて失礼に当たらない方法はないものでしょうか。ということで、ちょっと考えてみました。

 方法�@ 喪中につき年賀状が出せなかったことにする
 喪中のお宅は年賀状を出してはいけない、という年賀状道唯一にして最大のルールを逆用したウル技がこれです。しかしこの場合、前年のうちにその旨を告げるハガキを出しておくのが礼儀。んー、どっちにしろ失礼にあたるわけですか。

 方法�A 僕じしんが喪のために年賀状が出せないことにする
 おお、これはよいではないですか。僕が死んでいるのならば、とうぜん年賀状を出すことは物理的に不可能なわけで。死んでいる人に向かって年賀状の返事がないからといって失礼と怒る人はまずいないわけで。よしこれだ。やったー、いくぜー、ぶっこめー!


 論理の飛躍・破綻がはなはだしいですが、とにかく僕は死んだと、そういうことにしておきます。今こうしてカタカタと日記を打っているのは僕の死骸です。かつて僕であったもの、今はキョンシーかなんかです。死後硬直のため両手がまっすぐ伸びきってしまっているので、きーヲ打ツノモヒトクロウダ。オ札ガナケリャ通リャンセダ。

 と、そんなわけで、今年は僕じしんが喪であるために年賀状を出すことができなくなってしまいました。せっかく年賀状をくださった方々、本当にもうしわけありやせん。来年はぜったい書きますから(来たぶんの返事を)! じゃ、僕はこれから柳のまわりで輪になってキョンシーリズムで踊らなきゃならないので、とりあえず再見! ……あっ、ばか、テンテンの隣は僕だっていつも言ってんだろっ。このスイカ頭っ。