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僕が行きつけにしている美容院には女性の美容師さんしかおらず、髪を洗う時にはすらっとした長身の女の子が、マッサージの時には高校を出たばかりであどけなさの残る新人の子が、カットの時にはびじんで気さくなおねーさんが、それぞれ作業の手が止まるほど盛んにぺらぺら話しかけてくるのです。なんだこれは、密着度もやけに高いし、美容院ってやつはまるでキャバクラみたいでやけに楽しいじゃないか（行ったことないくせに）。 僕はこの美容院にしか行ったことがないので、全ての美容院がキャバクラに通じるものなのかどうかは知りませんが、さておき、今日の洗髪時に「合コンとかってー、よく行くんですかぁ？」なんてことをいかにも合コンずきそうな女の子に聞かれました。 僕は初対面の人との食事や酒席が苦手であり、それに僕が好む女性のタイプを端的に表すならば「合コンに行かなそうな人」ということになるため、僕じしん合コンに能動的に参加せねばならない理由はなんら存在せず、従って合コンというイベントを今までずっと敬遠し続けてきた人間なのです。が、そこはそれ、ちょっと見栄を張って「まあね、学生ですから。ははは」などと答えたところ、「いいなあ、アタシ実はー、合コンって行ったことないんですよー」という意外な反応。そのうえ「合コンってー、どういうことするんですかー？」というあまりに素朴な、戸隠そばくらい素朴な質問に、合コンに言ったことのない僕は「ええと、あのね、王様ゲームとかすんですよ。抜本的に」などとてきとうなことを言ってごまかしたのですが、いかんせん「合コン＝王様ゲーム」というのは『キン肉マン�U世』から得た知識にすぎず、果たしてじっさい巷間の合コンにおいて王様ゲームが催されているのかどうか、はなはだ心もとないところであります。ああ、キン肉万太郎とセイウチン間だけの嗜好だったらどうしよう、王様ゲーム。 それにしても、僕がもう少し軟派な甲斐性なしであったならばすかさず「あ、じゃあ僕がセッティングしてあげるからサ。三・三くらいでいいよネ？」と合コンの約束を取りつけジゴロロロと卑猥な笑い声をあげたりするところなんですが、実際の僕は甲斐性の権化高倉健の生まれ変わりのような男なのでそんな軽薄にふるまうことはできず、次に話をしたマッサージ係の女の子に対しても、彼女の場合はドライブの話から、牧場に行ってふかふかのヤギに触りたいけど連れてってくれる彼氏がいないんですうー、みたいな話になったのですが、それじゃあ僕が君を助手席に乗せて、というようなことはやはり言わずに、それはヤギじゃなくてヒツジだよね、と冷静にさとした僕です不器用ですから。 |