ウズメさん	巫女さん(21)　 年長者で国粋主義者　 主な口寄せキャラはトキワ荘の人々
サグメちゃん	巫女さん(18)　 ケミカルなナゴムギャル　 主な口寄せキャラはモンゴルの英雄チョイバルサン
シコメちゃん	巫女さん(14)　 PTSDの幽霊族 主な口寄せキャラは低級動物霊

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	「どうもお久しぶりです！　半年ぶりの巫女さん座談会です！」
	「いやあ、ホント久しぶりだねえー！　最近ここに来るようになった人はアタシたちのことなんかきっとわかんないね」
	「じゃあ、改めて自己紹介を含めた近況報告などしましょうか」
	「うん、それがいいね」
	「さんせーい！」
	「じゃ、ウズメ姐さんからどうぞー」
	「えー、あたしは『木更津キャッツアイ』の大ファンなんですけど、秋に映画が公開されるってんで楽しみにしておりましたら、大嫌いなユンソナがヒロイン役で出るっていうんで怒り心頭でございます。とりあえずあのあばずれにはキャッツアイを一服盛ってきちがいにしてやろうと思ってます。自称“半島版死ね死ね団”、黒住ウズメでーす！」
	「そんな『笑点』の大喜利みたいな自己紹介はイヤだよ！　そのうえ内容がダークでカルトだよ！　なにそのすんごくわかりづらいネタ！」
	「どうせこの世に生まれたからにゃお金も欲しいし名も欲しい、自分の幸せ守りたい。僕だって人間です。僕だって若いんです。恋もしたいし遊びもしたい、わかってほしいこの気持ち、ヤマトタケシでーす！」
	「お前も釣られてヤマトタケシなんかに憑依されてんじゃねーよ。じぶんの自己紹介になってないし！」
	「田中真紀子さんが無所属で出馬するそうで政局も混沌としてまいりましたが、それはそれとしてわたくしの鞄にはまだ若干の余裕がございます！　ペドラ・ピンダー太でーす！」
	「どさくさまぎれにへんなのが出てきた！　誰！？」
	「だからペドラ・ピンダー太ですよ。チャンラーン！」
	「ちょっと、ウズメ姐さん！　『妖怪を社務所に入れるな』って、こないだ宮司さんにキツく叱られたばっかでしょ！」
	「ちがうのよ、こないだの文車妖妃（書物にとりつく妖怪）はあたしが連れ込んだんじゃなくて、あたしの『愛蔵版あしたのジョー』から勝手に沸いて出たのよ」
	「（社務所に『あしたのジョー』なんか愛蔵すんなよ。）　……ともかく、前回のは勝手に沸いて出たとしても、コイツは明らかに姐さんが連れ込んだでしょ！　今思い出したけど、こいつクルピラだよね！　藤岡探検隊がさがしてた森の精霊！」
	「いっけねえ、サグメさんはなんでもお見通しだぁー」
	「うっさい、７０年代ドラマ口調で喋るな、うざい」
	「実は、先日の『藤岡弘、探検シリーズ』のラストのもやもや感にいても立ってもいられなくなったあたしとシコメちゃんとで……行っちゃったのよ」
	「……ドコに？」
	「……ギアナ高地」
	「……何しに？」
	「ギアナ高地で師匠と修行」
	「お前の師匠がいるのはインドだろ」
	「あー」
	〔−三日前　15：20（ブラジル時間）　ギアナ高地−〕
	「こ、これが探検隊が突入を断念せざるを得なかったという巣穴の入り口……たしかに狭いわ……」
	「どうするの？　マイト一発ばくはつさせちゃう？」
	「いいえ、それでは『自然を傷つけてはいけない』という隊長の教えにそむくことになってしまうわ。もっと他の方法を考えましょう」
	「シコメ、体やわらかいから、もしかしたら入れるかも……見て見てホラ」
	「あっ、ホントだ、そんなトコロにそんなコトができるなんて！　シコメちゃんにこんな取り柄があったとは知らなかったわあ」
	「昔、お父さんがシコメをサーカスに売り飛ばそうとして、お酢ばっかり飲ませてくれたおかげだよ」
	「あっ、そうなんだ、ふーん。へえ。じゃあ、がんばって」
	「よいしょ。うーん、うーん……」
	「頑張って！　シコメちゃん頑張って！」
	「うーん……やっぱり入れないかも……」
	「ああ、あたし達も撤退するしかないのかしら、せっかくここまで来たのに！」
	「……アノクタラサンミャクサンボダイ 　　　　　アノクタラサンミャクサンボダイ」
	「あっ、どうしたのシコメちゃん？　なにかが取り憑いたみたいだけど、いったい誰に憑かれたの！？」
	「レインボー！　ダッシュ6！」
	「ああっ、なんてこと！　愛の戦士レインボーマンが憑依しているのね！　それにしてもレインボー・ダッシュ6といえば土の化身。そんなものに変身していったい何をしようというのかしら！？」
	「ははは。ダッシュ6は体じゅうの関節を外すことで小さな隙間にも侵入することが出来るのです！　いくぞ、とーう！」
	「なるほど名案だわ！　その術を使えば自然が何万年もかけて営々と築き上げてきた鍾乳洞をこわさずにすむわね！」
	「ずるずるずる……」
	「ぐにゃぐにゃになったシコメちゃんが穴に這い入っていったわ。き、気持ち悪ーい……」
	「……」
	「ずいぶん時間がたったけれど、穴の向こうではいったい何が起こっているのかしら……」
	「わー！」
	「あっ、今飛び出してきたのは……クルピラ！？」
	「おのれ待てー！　くらえっ、地雷震の術！　ゴゴゴゴッ」
	「ぎゃー、地割れに足をとられて前に進めないー！」
	「今よ！　このっ、捕まえたっ！　この注射でもくらいなさいっ！」
	「ううーん、ばたり。ひくひく」
	「やった、ついにクルピラを捕獲したわよー！」
	「ばんざーい！　ばんざーい！」
	「ばんざーい！　ばんざーい！」
	「……と、いうわけなのでした」
	「最後のほうでめちゃくちゃ鍾乳洞を破壊してましたけど、いいんですか」
	「いいのよそんなもん。でね、帰り道、国境地帯で密林にひそむ麻薬密売マフィアとばったり出くわして、なぜか意気投合しちゃって！　彼らに“ペドラ・ピンダー太”名義で偽造パスポートを作ってもらって、なんとかこの子を日本に密輸してきたってわけ」
	「ブラジルの税関ってちょろいなー」
	「とにかく、クルピラは社務所で飼うことにしたから、宮司さんとかには内緒よ」
	「なんで学会とかに発表しないの！？」
	「奥ゆかしいのよ。あ、あたしとシコメちゃんはもうあがる時間だわ。今日の飼育当番はサグメちゃんだからよろしく！　餌はカタツムリをあげてね。じゃあ、おつかれー」
	「え、あ、ちょっと」
	「おつかれでーす！　とーう、疾風土煙火の術！（体を回転させてドリルのように地中に潜る術）」
	「こらーっ、ふつうに出て行けないのかよ！　……まったく」
	「……」
	「……なんだよ、こっち見んなよ。何か言いたいことでもあんのかよ」
	「キャラが定まってないので、あまりしゃべれません」
	「じゃあ黙ってろよ！　ばーか！　精霊！」
	「……」
	「……」
	「あの、」
	「なんだよ」
	「お土産にガンジャとかあるんですけど、いります？」
	「あ、いる。ブラジル産？」
	「コロンビア。シエラ・ネバダ産です」
	「へえ、ありがと」
	「まだありますから」
	「君とはうまくやっていけるかも」
	「恐縮です」
	「ふー。キクー」