1月17日(土)

 年端もゆかぬ女子二名が芥川賞作家として祭り上げられてしまった結果、われらが妖怪兄貴、京極せんせいの直木賞受賞がすっかり霞んでしまったではありませんか。おのれ。ぐぬぬ。でもまあいいか。綿矢さんかわいいし。あれ、なんか、僕の背中は彼女に蹴られるためにあるような気がしてきた。

 狙ったかどうかは知らねども、19歳と20歳、それもわりかしきれいめな女性、というのはなかなかにセンセーショナルだったらしく、マスコミ各位の喰いつき方もすごかったですね。とあるワイドショーでは綿矢さんと金原さんの人物的対比を表にまとめていて、早大生綿矢さんの「優等生タイプ」に対して高校中退の金原さんは「落ちこぼれ?」と書かれていました。ハタチの女の子をとっつかまえて全国放送で落ちこぼれ呼ばわりする傍若無人さ、および「?」をつければ何をいってもオブラートだと思っている言語感覚の鈍さにおどろきあきれ、僕は思わず食べていたモチを喉につまらせちゃいましたよ(いまだにモチを食い続けるおどろきあきれた食生活)。

 モチを喉につまらせた僕は薄れゆく意識のなかでなぜか小説のプロットを思いついたので、こいつを書き上げてすばる文学賞あたりをゲットし、それを足がかりとして芥川賞もたいらげ、僕も「とくダネ!タイムス」かなんかで「クズ人間?」とか「巫女さんキチガイ?」とかさんざん貶められたいと思います。
 プロットというのは、「ヘリウム腺肥大(難病)のため月経になると宙に浮きだす少女」「メキシコ国内線で客室乗務員として働いた後レスラーに転身、本場仕込みの空中殺法を会得した覆面スチュワーデス」「一人用無音ヘリコを開発することで中空の散歩者と化し、夜な夜な美少年を空から襲う男色発明家(通称バンゲリング・ゲイ)」、それと航空自衛隊バトル・インパルスとが空中都市「馬比論〔ばびろん〕市」の制空権をめぐって白熱のドッグファイトとかキャットファイトとかを繰り広げるという『爆裂都市』みたいなストーリーです。現代の若者が抱える不安とかなんとか、そういうメッセージは特にないです。あえてあげるなら、こんな『大乱闘!スマッシュブラザーズ』以下の話をデッチあげて、それで芥川賞が取れると思っている僕という人間のおろかしさ、こっけいさ、狂気と悲しみ、みたいなかんじでしょうか。うーん、やはりこれではいくらなんでもすばる文学賞にはそぐわないかんじなので、富士見ファンタジア書房にでも持ち込もうか。いや、いっそのことバンゲリング・ゲイ博士を主人公にしたポルノ小説を『月刊薔薇族』に投稿……などと、夢はしぼまるばかりです。尻すぼみ。尻。薔薇族。尻。尻。