5月19日(水)

 『ドーン・オブ・ザ・デッド』を鑑賞。面白かったです。ある朝とつぜんハニーがゾンビ、みんなもゾンビ、そろいもそろって俊足ゾンビ、逃げこむ先はショッピングモール、そこで最後の浮世の享楽ホイサッサ、そんなかんじのハートフルストーリーでした。大おすすめ。
 本作のリメイク元であるロメロ監督作『ゾンビ』は、私的シネマ番付の西大関に位置する土俵の鬼級シネマです。西大関『ゾンビ』関に込められた「人間はゾンビ以上に醜悪で恐ろしい」というメッセージや消費社会に対する風刺、あるいは全編に漂う妙に気だるい終末感、といったエッセンスを本作に見出すことはできませんでした。しかし、それでも僕は原作に不忠実なこのリメイクを断固支持したいなあ。とりあえず「『のび太の鉄人兵団』ばりの店頭陳列商品パクり放題享楽生活」という最大のエッセンスだけは踏襲してくれていたし、それになにより怖いもの! 走るゾンビが怖いもの! そしてなにより面白いもの! 怖くて面白ければ十分。それ以外のことは知らん。そんなこころざしの低さに乾杯!

 世のサラリーマンのじつに半分近くが「世界の破滅的状況」を待ち望んでいる、とかいうアンケート結果があるんだそうです。察するところ「世界の破滅」というのはいわゆるひとつの男のロマンなんでしょうね。かくいう僕も、早く世界が破滅しないかなあとわくわくしながら新聞で世界情勢を毎日チェックし、そして毎日落胆している男の一人なのです。
 われらむくつけきボンクラ男の夢の国=ネバーランドはウザい妖精とかショボい海賊とかわけのわからん爬虫類とかが跋扈するようなしょうもない世界では断じてなく、たとえばそう、ゾンビ! 人類99.9999パーセント死滅! ゾンビのほかに生きているのは僕と美女と死にキャラ要員だけ! そんな破滅的世界であるべきなのです。夢の国=ゾンビだらけ。これはもう、確定事項。かくしようのない真実。だからこそ「自分ら以外全員ゾンビ!」という設定のロメロ系『ゾンビ』ものはジャンル分けをするならば「ホラー」よりもむしろ「ファンタジー」なのだと、僕は声を大にしていいたいわけです。というわけでうわーい、この映画ときたら『ハリー・ポッター』の五千倍くらい夢があるよう! 僕もショッピングモール内の商品を貪欲に消費したり、むらがるゾンビをぶっ殺すゾンビキラー重装甲バス作りに精を出したり、犬っころを使って別建物の屋上で孤立しているおっさんに手づくりハムサンドを差し入れしてあげたりしたいよう(ゾンビは犬をシカトする習性がある!)。うわーい! うわーい!


 なんか最近は映画の話ばかりで申し訳ないのですが、次回もゾンビ話を続けます!