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『ドーン・オブ・ザ・デッド』を観ました。という話の続きです。 『ＣＡＳＳＨＥＲＮ』（『新造人間キャシャーン』のリメイク）や『魔界転生』（深作版同タイトルのリメイク）、あるいは『世界の中心で、愛をさけぶ』（『一杯のかけそば』のリメイク）等、世間に駄目リメイクは数あれど、しかしこの映画は例外的にすばらしい。リメイク元映画『ゾンビ』の哲学的な部分をバッサリ切り捨てたいさぎのよさ！ 「ゾンビがノロいと怖くねーから走らせちまおうゼー」という短絡的な発想、ゾンビに対する愛のなさ！ すばらしい、おもしろい！ 一人でかけそば四杯食べちゃうくらいおもしろい！ 私的シネマ番付における今場所のリメイク部屋所属幕内力士は東前頭二枚目『カタクリ家の幸福』（『クワイエット・ファミリー』のリメイク）関ただ一人であり、リメイク部屋の終焉、『カタクリ家の幸福』関の三池部屋合流、そんなうわさがまことしやかに語られていたのですが、『ドーン〜』関の登場によってリメイク部屋はようやっと息を吹き返しそうな気配です。よかったよかった。あぶなかったよ。ごっつぁんです。 そんな超絶おもしろゾンビ映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』に影響されたせいで、いま僕は「もしもゾンビでにぎわうこの世があったら〜」というドリフ大爆笑的妄想で頭がいっぱいです。 まず、どこに避難すべきか。本来ならばなにはなくとも消費経済の殿堂ショッピングモールに駆け込み、映画に描かれた豪勢な生活を追体験したいところですが、しかしそれは現実的には大変軽率な行動であるといわざるをえません。我々はすでに「ゾンビが出たらモールへ走れ！」という行動パターンを映画によってインプリンティングされてしまっているため、有事の際モールは映画ファンであふれかえり、相当の混乱が生じているにちがいないためです。人が多いうえにホラー映画ファンの密度が高いという状況。こ……これは絶望的だ。 「この野郎、ロメロ三部作の傑作は『死霊のえじき』に決まっているだろう！ あの圧倒的な絶望感に腹の底からしびれろ！」 「ふざけるな、ゾンビ映画の夜明けを切り開いた『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のもつ映画史的意義を無視しておいて、よくそんなことが言えるな！」 「うるさい！ 『ゾンビ』がフェイバリットじゃないやつは今すぐこのモールから出て行け！ このモールは俺たち『ゾンビ』派のものだ！」 「なにをっ、このモールは『死霊のえじき』派が支配する！ 皆かかれーっ」 「おっと、『ナイト〜』派も遅れをとるな。他の連中はぶっ殺せー」 「ひえー、オイラたち『死霊のはらわた』派はまるで居場所がないでヤンス。仕方ないのでスーパーマーケットにでも行くでヤンスー」 みたいな派閥抗争が激化し、ゾンビの侵攻を待たずしてモール内の人間は同士討ちのすえ死滅してしまうのです。人間の業というやつです。 また、銃社会アメリカにおいてモールは武器庫としても機能していたため（モール内、もしくは近隣に銃器店がある）映画では篭城戦がある程度成功していましたが、日本ではそうはいきません。銃器を取り扱っていない日本のモールにたてこもるメリットはせいぜい「食料がある」という程度。しかし大挙して押し寄せる『ゾンビ』ファンのことを考えると、一人一人にきちんと食料が行き渡る保障もありません。ゆえに提言その1「ゾンビが湧いてもモールに行くな」。 ならば、地獄が満員になり、地上を死者が歩き始めたその時、われら無力な日本人はどこに向かうべきか。僕の仮説によれば、生き残れる確率が最も高いのは田舎の農家を拠点とした防衛戦。なぜか。それは田舎の農家が「武器の調達」「食料の確保」という問題をいずれもクリアしうる日本で唯一の場所であるからです。 田舎に行けば猟銃の一丁や二丁、家に常備してある家など珍しくありません。なおかつ鳥脅しの空砲、猿害対策の電流ネット、耕運機、脱穀機など、武器に改造・転用できそうな道具にも事欠かず。クワやらナタやらぶっそうな道具も各種取り揃えてあるため、ゾンビとの近接戦闘も心配なし。さらには備蓄米もあるかもしれませんし、ゾンビは畑を荒らしたりしないでしょうから、広大な田畑さえあれば半永久的な自給自足も可能です。ああ、ゾンビと戦うのになんて理想的な環境。百姓最強！ 猟友会最強！ 提言その2「ゾンビが湧いたら農家に走れ」。これだ。これしかない。 ゆえに皆さんも、有事にそなえてお百姓さんと仲良しになっておくことをおすすめします。僕はまあ、お百姓のともだちは残念ながらいないのですが、実家には猟銃二丁とトラバサミとスリングショット（鳥撃ち用）と火炎放射器（雑草駆除用）と先祖伝来の槍があるし、飲食店を営んでいる都合上食材の備蓄もあるし、お百姓に頼らずともそこそこ生き残ることが出来ると思います。しかしこうしてみると我が家の軍事力はなかなかのもの。はてさて有事が待ち遠しい。というわけでゾンビまだー？ |