9月23日(金)

  遅ればせながらニンテンドーDSを購入し、『nintendogs』で遊んでいます。えーっ。なにこれすんごいかわいいじゃん。

 要するに画面の中の犬っころに芸を教えたり、腹をなでたり、散歩時に犬っころが排泄したうんこを始末したりするだけのゲームなわけですが、これがなかなかに情がわくというか。

 仕事を終えて帰宅してニンテンドーDSの電源を入れると、モラーグ(犬の名前。♀)が腹をすかせて喉カラカラにして僕を待ってるわけですよ。ニコニコ走り寄ってくるわけですよ。こ、これは萌えます。ごはんをたんと食べさせて、お散歩に連れて行って、その後は新芸の開発とフリスビーの練習もしようね、でも疲れているならしなくてもいいからね、そんな時はしゃぼん玉でも吹いて遊ぼうね、ほーら、おもちろいでちゅかー……などと、そんなバーチャル犬との日常がすごく楽しい。そしてこのゲームをプレイしている姿を、僕はなんぴとにも見られるわけにはいかない。

 すれちがい通信機能もなかなかよいですね。通信機能をオンにしたままDSを持ち歩いて他の飼い主とすれちがうと、よその犬からプレゼントをもらえたり、犬のデータや飼い主の肉声が残されていたりするというものなのですが、この一期一会っぷりがせつな楽しいです。

 残念ながら僕の住んでいる新小岩地区はスラム街なのでDSのような高級玩具を所有する富裕層は住んでおらず、住んでいるのはポン中ばかり。どうしても他の飼い主さんとすれちがいたい僕は、仕事帰りにわざわざふつうの人や旅行者の賑わう東京駅に立ち寄ったりしているんですよ。それはそれでばかだよね。なにをするでもなく東京駅のコンコースを行ったり来たりして、時おり立ち止まってはトートバッグからDSを取り出しニヤニヤしたりガッカリしているあやしげな猫背の二十代男がいたら、それはきっと僕です。あるいは、「あっ、一句ひらめいた」とつぶやいて

「ワンちゃんとすれちがいたし 停車場の人混みの中に そを求めゆく」

などというわけのわからぬ句をひねったりしている人がいたら、それは一見啄木にみえても、実はやっぱり僕です。ちょっとしたひっかけ問題だよ。

 しかしファミコンに興じていた二十年前には、「東京駅をうろうろする」ことに楽しみを見出せるゲームが登場しようなどとは夢にも思いませんでした。DSしかり、Revolutionしかり、常にゲームのあり方を変えようとたゆまぬ努力を続けまくる任天堂はほんとうに素晴らしいメーカーだと思います。僕はどっぷりのセガ派だけど、ゲーム業界の舵取りは絶対に任天堂が行なうべき。Revolutionのコントローラーの発想なんて、二十年間ゲームパッドを握り続け、コントローラーかくあるべしという固定観念に凝り固まった僕なんかには逆立ちして鼻からスパゲティを食べながらテキサスを横断しようとして暴れ牛に突き殺されて煉獄で生前の罪をあがない一万二千年後にようやく転生したとしても絶対に思いつかない発明です。すばらしすぎます。僕がもしもゲームの女神とかだったりしたら、いよいよ始まる次世代ゲーム機戦争では任天堂本社の鎮座まします京都方面にむけてほほえんじゃいますね。ニタニタと。