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日記どころか小説も書くひまが取れなくて困った。なにをするひまもない。いまの仕事やめちゃおうかしら。 先月末締め切りのYahoo文学賞もやっつけになってしまいました。紆余曲折の結果、「天狗に斬られてフェータルな傷を負った男とフェータルな傷を負わせた天狗が城崎温泉に湯治に出かけたのち、さらに熱海まで足を伸ばして秘宝館とか見物した」というなんかもうよくわからないお話になってしまいました。いくら僕の中でいま天狗がはやっているからって、これはさすがに慙愧にたえない。ZANKIにたえない。 小説というのは作品であると同時に商品であるのだから、あまりに自分の好きなものばかり詰め込んでもしょうがないのかもしれません。そうした自戒の意味をこめつつ、今度はためしにまったく守備範囲外であるところのライトノベルを書く練習でもしてみようかなあ。それもすんごい萌えるやつ。 たとえばこう。赤道直下、暗黒大陸最深部に聳える地球最後の未踏破地帯〔テラ・インコグニタ〕、人呼んで“魔女の子宮〔サマク・スゥジェ〕”。科学万能の二十一世紀になってなおこの土地が頑なに人類の侵入を拒み続ける理由は多々ある！ 人に幻覚を見せ、珍奇獣虫の性質を忽ち凶暴にさせる特異な腐朽霧気！ そして“魔女の子宮”の名の如く、サマク・スゥジェ中心部から次々と産み出され湧き上がる未知の毒蟲、血蟲、肉食畸獣！ 19世紀、かの地に遠征を試みたイギリスの大旅行隊〔キャラバン〕は瞬く間に全滅！ 近代探険史上最悪の犠牲者を出したといわれるも、隊の副隊長のみが数年後奇跡的に生還。精神に異常をきたしていた彼の胡乱な発言によれば、彼は“魔女の子宮”内部に分け入り、頭部に鳥獣の耳を生やした謎の人種と接触したというのだ！ “魔女の子宮”内に棲むという畸耳人種、果たしてこれは真実なのか、それとも彼の妄想の産物なのか…… この謎に果敢に挑むは、われらが富士丘大学探検部！ 探検部のメンバーは、主人公の折竹くん以外、理由はまだ考えてないけどぜんいん女の子だ！ 隊長も通訳もポーターもおっちょこちょいの白鳥さんも女の子だ！ かつて二人だけでひみつの探険ごっこをしたことのある幼なじみの女の子も在籍中！ 果たして探検隊は秘境サマク・スゥジェを越え、その先にある地球最後の謎を、そして幼なじみのあの子の心の内を解き明かすことができるのか！？ みたいなかんじ。けっきょく自分の好きなものを詰め込んでいるだけのような気もしますが、まあ、女の子ハーレム状態とか、幼なじみキャラとか、ツンデレとか盛り込んだりして、僕なりにけっこう市場を意識しているつもりなんですが、だめですかね。どうですかね。ジャングルで水浴び中ヒルに襲われる幼なじみとかっていうのは、そんなに萌えませんかね。 え、ツンデレを盛り込んでない？ なにをおっしゃる、しっかと盛り込んであるじゃないですか。「未知の毒蟲、血蟲、肉食畸獣！」のくだりに。 ……えっ、えっ、「ツンデレ」って、「毒蟲にツンと刺された痕が腫れ上がり、放っておくと肉がデレデレに溶ける」の略じゃなかったんですか。このツンデレ以外に萌えるツンデレなんてありえないような……えーっ、「普段はツンとした態度だけど、付き合い始めてからや二人だけの時はデレデレになる女の子のこと」だってー。なんだってー。そいつはたしかに萌えるじゃないかー。 とまあ、そんなわざとらしいツンデレオチはさておき、とにもかくにも時間が欲しいなあ。 |