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実に奇妙な話ではあるのですが、宮城の山奥・鳳喰村から東京は葛飾区新小岩に越してきて半年、山中に住んでいたときよりもまわりに蟲が多くて困ってます。いまだに蚊は出るし、ゴキブリの抜け殻みたいなのが部屋に転がってるし、なによりクモが多すぎるんだこの部屋は！ 部屋じゅうクモだらけなんだ！ 『鳥』を撮ったヒッチコックもびっくりしすぎて急性心不全だ！ 殺しても殺してもどこからか沸いてて出るクモの群れ。あー、もう、ほら、また天井に一匹ひっついてるのを見つけちゃったし。もうこんなヒッチコッキーな状況には耐えられないよう。えーん、でっかいヤマアリくらいしか出没しなかった衛生的な実家のお部屋がなつかしいようー、などと布団をかぶって泣いていたら、なつかしの実家から食べ物の仕送りが。フタを開けてみれば山で採れたての、土のついたでっかいシイタケ。さっそく焼いて食べようと取り出したところ、箱の中からワラジムシ、ヤマアリ、その他なんかよくわかんない蟲がパンドラチックにわしゃわしゃ這い出てきました。僕がびっくりしておしっこを漏らしたりしているうちに蟲どもは部屋のどこかに逃げおおせてしまい、こうして僕の部屋の地蟲・毒蟲ラインナップに新たな顔ぶれが増えたというわけです。東京蟲ミーツ東北蟲。僕の部屋を舞台に、蟲たちの新たな冒険が始まる。そして僕は、蟲のいない新天地を求め旅立つ。というわけで、引っ越したいなあ。 |