アニマックスにて『妖怪人間ベム』のリメイクを放送しているのですが、これがなかなかつまらないですね。旧作『ベム』を覆っていた気色悪さ、因果応報物語っぽさ、見世物小屋っぽさ、といった負のイメージがだいぶ希薄なせいだと思います。なんか旧作ってほんとうに暗くて、作中の天気ひとつとってみても、常に曇天だった気がするなあ。

　 旧作で何が気味悪かったって、妖怪人間たちの人間形態。どうせならもっとうまく化ければいいのに、妖怪形態時と同様、人間形態時も指が三本なんですよね。しかも黄色い爪が鋭く汚く生えている。ベムはゴッサムシティーの犯罪者みたいなナリをしているし、ベラは化粧の作法をかなり根本的根源的抜本的な段階で間違っているし、ベロは真っ赤な全身タイツを着て、なおかつアブドーラ・ザ・ブッチャーのお下がりみたいに猟奇的なクツを履いているしで、まったくもって全身全霊があやしすぎるのですが、にもかかわらず「オイラたち、あやしいものじゃないよ！」などと妄言を吐きながら市民生活に溶け込もうとする、そんな彼らの市民とはズレすぎた感覚に悲哀を感じずにはおれませんでした。そこがよかった。
　 新作では人間バージョン時の指の本数が五本に変更されているのですが、これは改悪だと思います。悲哀が減ります。

「そういえば、どうして妖怪人間の指は四本ではなく三本だったのか？」という疑問が今さっき湧きあがったのですが、今さっき瞬時に自己解決しました。「早く人間になりたい！」と叫ぶキャラクターの指が四本だったとしたら、まるでシャレになりませんものね。これ以上深く解説は出来ません。

　同じくアニマックスにて『銀牙伝説WEED』を視聴していたら、ある犬っころ（悪）が、他の犬っころ（善）をかみ殺そうとしていて、その様子を見ていた第三の犬っころ（善）が犬っころ（悪）に対して「この人殺しー！」という表現でもってその悪行を糾弾し、そしりなじっていました。犬が犬を殺した場合、その様子をより正確に表現しようとするならば、それはおそらく「人殺し」ではないはずなのですが、ここで正しい日本語にこだわるとやはりシャレにならないことになってしまうのかなあ、などということを考えながら、これ以上詳しく解説するつもりは毛頭ないので、今はアニマックスでエヴァンゲリオンを観ています。綾波レイはやはりよいなあ。