職場の近くにすべてのマンガが立ち読みし放題という実にマザー・テレサチックな書店がありまして、昼休みになるたび僕はその書店におもむき、書店さまの際限なき慈愛のみこころに触れて落涙とどむるところを知らず、滂沱の涙もそのままに嗚咽にむせびながら宗教的法悦、いわゆるトランス状態でアッアウアウーとか呻きながら立ち読みをしているのですけど、はたからみて大変あぶないのですけど、さておき、そんな僕が今読んでいるのは『蒼天航路』。いや、やっぱりいいですね三国志は。男の世界だゼー。

　今は関羽が曹操のもとに降って、劉備の友軍にあたる顔良将軍を一閃の太刀のもとぶっ殺すあたりを読んでいするのですけれど、僕は三国志の長い長い全ストーリーのなかで関羽の曹操軍投降〜千里行あたりのお話が一番好きだなあ。なんたって燃えますよね！　あの、桃園の固き誓いで結ばれた劉備・関羽・張飛の義兄弟が、たとえ不可抗力といえども敵どうしになっちゃうんだよ！　衝撃！　そう、昭和生まれの僕たちが血を吐くくらいに大好きな『キン肉マン』にたとえるならば、テリーマンがキン肉マンからのタッグの誘いを断ってジェロニモとニュー・マシンガンズを結成しちゃうくらい衝撃だッ！　あんときも燃えましたよね！　なにやってんだテリー！　なんでよりによってジェロなんかと！？　あんなんただの田舎モンだぜ！？　人間のクセして超人の健康診断にマサカリかついでやってくるような電波だぜ！？　みたいな。ねー。ほんとに。ねー。

　誰にとも知れぬ問いかけ・思い出の共有の強要はさておき、そんなわけで僕は『三国志』が当世風にいえばギザ燃ユルス！　なおかつ関羽がギザカワユス！　な人なのですけども、そんな三国志萌えの僕でも一抹の不安を感じてしまうのが現在開発中のネットゲーム『三国志Online』。三国志世界をMMOで再現、というのは実にギザ素晴ラシスなコンセプトで、考えるだに胸踊るのですけれども、公式サイトを見ると、「フィールドには虎とか巨大サソリとか牛魔王とかウロウロしています」みたいなことが書いてあるではないですか。牛魔王、というあたりで、僕の不安は一抹どころか四億五千万テラ抹くらいに増大してしまったのですけれども、果たして「一武将として三国志世界を生きてみたい」というニーズと「みんなで力を合わせて牛魔王をぶっ殺す」というゲーム内容は重なり合うものかどうか甚だ疑問であります。

　とまあ、そんなことを言いつつも、発売されたらどうせプレイするんでしょうけど。もう僕あずいぶん前からコーエーさまの金銭的奴隷ですよ。僕が死ぬまでにコーエーに貢ぐ金は百万円をくだらぬであろう。五斗の米どころのさわぎではない。