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5月10日(木)

 一人暮らし歴二年とちょっと、まだまだ自炊が楽しいお年頃の僕なのですが、特に調理するのが好きなのはパスタ類。ごはんを炊くよりもずっと手早く作れるし、なにより素人が作っても軒並み美味しくできちゃいますからね。なかでもジョジョ好き歴二十年である僕のお気に入りパスタは言うまでもなく……Exactly(その通りでございます)、娼婦風スパゲッティでございます。ほらあの、4部でトニオさんが作って、それを食った億泰の虫歯がスパーンと吹っ飛んで天井に突き刺さったことでおなじみの娼婦風スパゲッティね。ねー、みんな知ってるよねー。

 娼婦風スパゲッティの何が素晴らしいって、材料の全てが保存の利くものばかりなので、材料を常時ストックしておいて、食べたいと思ったときにささっと作れちゃうこと。ホールトマトの缶詰、ブラックオリーブの瓶詰、ケッパーの瓶詰、アンチョビの瓶詰、あとはアーリオ・オーリオとパスタさえあればサクッと作れて、しかも美味しいというディ・モールト素晴らしいレシピなのです。

 先日、冷蔵庫の中を整理していたら、現在使っているオリーブの瓶詰の更に奥深くにいつ開栓したかわからないオリーブ瓶詰を発見。なんともったいない、こんな具合じゃもったいないお化けが出ちまうぜ、という吝嗇的観点ならびにゴーストスイーパー的観点より、その付喪神になりかけた黒オリーブで娼婦風スパゲッティを作ったのですが、それが失敗のもとでした。保存にも限度ってもんがありました。開栓時期不明のド古いオリーブを食べたせいで身体中にじんましんが出来て、しかもそれが発狂しそうになるくらいに痒くて痒くて、発症から二日経過した今でも両手と両太腿と腹と背中と臀部と陰部と頭皮とが痒くて痒くて。って、つまりもうそれは全身ではないか。パパから貰ったクラリネットの故障部位なみのコンプっぷりではないか。しかも刺すような痛みを伴う痒さではないか。食べ物を粗末にしまいという優しき青年の心を踏みにじり、そしてこんなにも苦しめあざ笑う蕁麻疹の原因物質ヒスタミンという奴は、なんと残虐でおとろしい男なのだろう。冷酷だ。酷薄すぎる。お百姓さんおもいの優しき青年が今夜また一人、ヒスタミンのもたらす痒みのせいで眠れぬ夜に枕を濡らすのだ……。

 ちなみに昨夜は冷えピタシートを身体中に貼りまくり、長方形のシートで全身を覆った兵馬俑の兵士みたいな姿となることでようやく眠ることが出来ました。今夜は果たしてどうだろう。夜が更けるにつれ次第に全身の痒みが増してきた気がするので今から戦々恐々。また兵馬俑兵士のコスプレをしなければならないかと思うと気が重いです。ヒスタミンのド餓鬼はいつかシメてコマします。