皆さんご存知、怪奇の祭典「ビーケーワン怪談大賞」にて、拙作「死霊の盆踊り」が大賞の栄誉に浴することが出来ました。663作も作品が集まった大きな催しの中で一等賞を頂けただなんて、今まで生きてきた中で一番幸せです！　などと、中二少女（当時）の発言のパクりでしか今の喜びを表現するすべを知らず、いみじくも文芸をたしなむ者として己の語彙のまずしさにしばし暗澹たる気分になります。大丈夫なのか。

　ともあれ「死霊の盆踊り」は、自分でいうのもなんですが途方もなく怖くて恐ろしいお話です。何が怖いって、話そのものよりも、これを書いた著者の身に降りかかった恐怖体験がこのうえなく怖い。これを書いた人、というのはつまり僕なのですが、僕はなんとこの話を、自分の誕生日に、誰からもお祝いの席を設けてもらったり、プレゼントを贈られたり、お祝い電話の一本すらもらうこともなく、一人淋しくPCに向き合いながらしこしこ書き続けていたのです。こ……こわすぎる！　せっかくの誕生日に、この人はもう少し他にすることがなかったのだろうか。誕生日に暗い部屋にこもって一人きりで怪談を書いてる人が世の中にいるなんて、こわすぎるというか、もはや悲しすぎる！

　とまあ、著者の怨念がこもった作品ですので、読むと呪われて来年の誕生日を一人で過ごす羽目になったりするかとは思いますが、そのへんはあまり気にしないで読んでくださいね。みんな幸せなんだから、ちょっとくらい呪われたっていいじゃない。僕なんてこれからごちそうで祝杯をあげるとはいうものの、静かな部屋に一人きりで、ごちそうっていってもフリトレーのマイクポップコーンとかなんだよ。