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11月15日(木)

 三千世界のネチケットに通暁し、また幼時よりお母さんに繰り返し諭された「自分がされて嫌なことは人にしてはいけない」という教えを守り真っ直ぐに成長したスーパーかっこいい人格者である僕は、よっぽどのことがないかぎり履歴の残るネット上で特定の個人名をあげて非難することはないのだけれど、今回はよっぽどのことなので言わせて貰います。

 あ……ありのまま今起こったことを話すぜ! 「おれは荒木飛呂彦先生のインタビュー記事を読んでいたと思ったら、いつのまにか聞き手の一人である社会学者“金田淳子”のやおいカップリング妄想をえんえんと読まされていた」。な……何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……「総特集☆荒木飛呂彦」の看板に偽りありとか羊頭狗肉とかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと気持ち悪いものの片鱗を味わったぜ!

 というわけで、もっか僕は『ユリイカ別冊/総特集☆荒木飛呂彦』の荒木先生インタビューに激怒しているのである。いやまあ、激怒っつーほどではないですが、その内容に極度に呆れ返っているんです。

  なんで主賓の荒木先生を差し置いて金田淳子とかいうわけのわからぬやおい女が、超私的なジョジョキャラカップリング話を滔々と荒木先生に論じて聞かせているのだろうか。ディオ×プッチがどうだの承太郎×仗助がどうだの、そういう腐女子特有のカップリング思考自体はべつに否定しません。が、やおいには縁も興味もない荒木先生を招いた席上で、その主賓を差し置いてえんえんと男性キャラ同士のありもしないエロホモ妄想を喋り倒し、あげくドン引きして話をする意欲を失った主賓を聞き役に回らせて更に喋り続けるというのはいかがなものだろう。大人のする仕事として最低のグレードだと思います。荒木先生と『ジョジョ』、そして雑誌という「場」そのものを私物化している。私物化というのは矮小化であり、つまるところジョジョと荒木先生を根源的なところで馬鹿にしている。更に、不世出の作家である荒木先生の貴重な話が訊けると思い1200円の貨幣と等価交換でユリイカを手に入れたジョジョファンの僕のことをきっちり1200円ぶん馬鹿にしている。あまりに頭にきたので、僕は金田淳子によって汚された食屍鬼雑誌ユリイカをテーブルの上に置き、上からメメタァと殴りつけたところ、不思議なことにユリイカは無傷だったのだが、しかしッ! その下にある高級クリアガラステーブルだけが粉々に砕け散ったァァァ! ……こ、これが「仙道」ッ!?

 というわけで、僕は大人の仕事ができないおろかな金田淳子のせいで、ユリイカ代とテーブル代合わせて総額121,200円の損害をこうむったのであった。でもまあ、おかげで波紋法のコツを習得できたからいいか。金田のことをけちょんけちょんに書いたらすっきりして怒りも収まったことだし。今はスゲー爽やかな気分だぜ。新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーによォ〜〜〜ッ!(42巻)

 みたいなかんじで、なんか金田のことをボロクソ言っていますが、人のことばかり言っていられないというか、そういえば僕もこないだ怪談雑誌「幽」のてのひら怪談座談会というものに出席していたのだった。しかも緊張しまくっていて、会場で何を喋ったものだったか、今では全く思い出せないというのがまた恐ろしい。もしかしたら金田みたいに「てのひら作家の○○さんと××さんは、僕の中ではデキてる設定です。萌えー!」みたいな愚かなことを口走って座を乱していたかもしれない。どうしよう。うわー、今まで金田に対して発言した文句の全てがバッド・カンパニーの全隊一斉射撃のごとく自分の身に返ってくる。ご、ごめんなさい。えらそうなこと言ってごめんなさい。「幽」関係者各位にもなんかもうおしなべてごめんなさい。あ、ついでに金田もごめんな。おれも言いすぎたよ。お前もおれとおんなじペーペーだから、ああいう場に慣れていないんだよな。これからもっと頑張ろうぜ。