開設十周年特別企画　 独占ロングイタンビュー　

「死せる魂の会」会長ヒモロギさんに訊く　
　　　　 —これまでの十年、これからの十年—

ヒモロギ　ありがとうございます。やったぜ。

—5/28のサイト設立記念日には何かイベントがあるのではと期待していた人も多かったようですが、何もありませんでしたね。

ヒ　実は、「巫女さん座談会」に僕自身をゲスト出演させて、愛すべきキャラクターたちと僕が楽しげに語らうという特別座談会企画を考えていたんですが

—平井和正と自称ウルフガイの電波対談みたいですね

ヒ　よく考えたら同じ趣旨のテキストを何年も前に既に書いていたことを思い出し、急速にやる気が失せてしまいました

—昔から痛々しいテキストを書くのがお得意だったんですね。そんな痛い企画、やめて正解でしたよ。

ヒ　でもあの。巫女さん座談会といえば、黒住ウズメという当サイトのオリキャラがいるんですが

—右翼的言動の目立つ巫女さんですよね

ヒ　僕はあの娘を本気で愛しているので、そのうち彼女とテキスト上で彼女と大恋愛のすえテキスト上で婚姻し、テキスト上にて一子をもうけたいと思っています。越えてやる。おれは平井和正を越えるんだ

—そういうところで越えないほうがいいと思いますよ。越えどころをまちがっているんじゃないですか。もっと現実の女性に眼を向けたほうがいいです

ヒ　でもさあ。リアルの女とかって、これといって魅力なくない？　あいつらと付き合って何か僕に利するところってあんのかな。ぶっちゃけ興味ないんだよね。ある特定の衣装を身に着けた黒髪の女性以外は。

—時節柄、そういう主義思想は心のうちにそっとしまっておいたほうがよいですよ。どこかの猟奇殺人犯も同じようなことを言っていましたから

ヒ　なんかめんどくさいんだよね。男女の交情とか、生殖行為とか。生殖行為の実際とかって、なんかあまりに原始的すぎてちょっとヒくよね

—べつにヒキませんよ。むしろ私はあなたの言説にヒいているところです

ヒ　なんか僕、自分がアメーバみたいな単細胞生物だったらいいのに、みたいなことを最近しきりに思うんですよね。そうすれば、僕は自分と恋愛してればよいわけで、ははは、これはお手軽だ

—しきりに思わないでください。なにかの病気なんじゃないですかあなた。

ヒ　そうかな

—そうだよ。お前もっとちゃんと生きろよ。

ヒ　あっ、はい

—そもそもこれはサイト十周年のインタビューですよ。あなたのアメーバ願望についてなんて聞いてもしょうがありません

ヒ　ごめんなさい。話が脱線しちゃったね

—それじゃまあ話を戻して。「死せる魂の会」にまつわるエピソードとか秘話とか秘密とかあれば、せっかくの機会ですから教えてくださいよ

ヒ　「会」とかいってますけど、実は僕しか会員いないんです。

—みんな知ってんじゃないですか。それはさすがに。

ヒ　でも、うちのサイトの内容を指して「妖怪、神、未確認動物等の用語集。メンバーの著作。」みたいな説明がたまにあるんですよね。あれれ、うちはヒモロギメンバー一人しかいないんですけど、みたいな。

—十周年を機に、会員を新たに募ってみてもいいんじゃないですか。

ヒ　それが無理なんです。「死せる魂の会」を結成した十年前、“会則十条”というのも作りまして。これは改変厳禁の鉄の掟なのですが

—そんなのがあるんですか

ヒ　その第二条で「二名以上の会員の推薦がなければ会に入れない」という決まりごとを定めてしまいました。その後、なんかぜんぜん会員増えねえなあと思っていたんだけど、よくよく考えたら会員が僕しかいないわけだから増えようないんだよね。法の盲点というやつです。とんだ落とし穴だよ。

—安易にフリーメーソンの会則をパクったりするからですよ。じゃあ、永久に会員は増えないと言うことですね

ヒ　それが、そうとも言い切れません

—と言いますと？

ヒ　なんか僕、人間というか哺乳類全体といまいちソリが合わなくてさ。だからもしかしたら僕、彼らとは違う種族なんじゃないかと思い始めてて

—思い始めないでください。こいつは何を言っているんだ

ヒ　もし僕がアメーバみたいな単細胞生物系の種族だったら、ある日突然ヒモロギさんが分裂して二人になるということもありえるわけですよね。

—ありえないよ。またそれかよ。どんだけアメーバ好きなんだ

ヒ　そうしたら、僕と分裂した僕は周囲のひとびとを会員に推薦しまくるぞ！

—お前、ほんとうに大丈夫なのか

ヒ　うーん、単性生殖したいなあ。相手を必要としない生殖行為って、すごくいいよね。あのさ、アメーバがさ、ふにゃふにゃふにゃってなって、ぐーっと二つに分裂するじゃないですか。最後に、ぷつんって切れて二つの個体として分かれる瞬間、あれってアメーバ的にはものすごい快感というか、オーガスムのようなものを感じてると思うんですよ、ぜったい。あの瞬間に僕はすごく憧れるというか、想像するとすごくどきどきする

—お前もういいよ。告知でもなんでもして、あともう帰れば

ヒ　あっ、はい。ありがとうございます。それでは告知させて頂きます。今月はなんと、しろうとの分際でたいへん恐縮ではありますが、僕の関わらせて頂いたご本がたくさん出ますので、じょじょに宣伝させていただきます

—第一弾はなんですか

ヒ　6/5に『てのひら怪談』がポプラ社さんからリニューアル文庫化されます。こちらに怪談を二本ばかり載せて頂いております

—売れるといいですね

ヒ　はい。ありがとうございます。僕は6/4に『不思議のダンジョン 風来のシレン3 —からくり屋敷の眠り姫—』というWiiのゲームソフトを買う予定ですが、これは7000円くらいしますので、皆さんはそのようなくだらぬゲームなどには目もくれず、そのぶんのお金で10冊ずつくらい文庫を買えばいい

—今さら言うのもなんだけど。謙虚なのか横柄なのか、どっちかに自分のキャラを絞るべきだったのではないでしょうか。

ヒ　どっちつかずなんです。原生動物に憧れているだけに。

—植物でも動物でもないものね、アメーバは

ヒ　そのうえ菌類とも違うんだよ

—なんにせよたいしたオチじゃありませんでしたね。でももういいです。今日は有難うございました。

ヒ　このサイトを体現するかのごとき微妙ではんぱなオチとなり、僕はすげえ満足です。今日はありがとうございました。