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「…………」 |
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「い、一体どんな悪霊が取り憑いたんだろ……？」
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「ダメ！ そんなに近づいては危険よ。少し離れたところから様子をみましょう」
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「……」 |
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「……」
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「……」
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「……アタシが、アタシが一番ビリって道理はないだろ！」 |
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「……えーと、だ、だれ？」 |
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「さ、さあ。もうちょっと観察してみないことには」 |
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「巫女さんの人気投票っていってんのに鳥肌実にばっかり投票する、あんたたちの性根が気に入らないのよっ。鳥肌が一位になるって法はないだろっ」
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「だ、だれ？」 |
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「さ、さあ？ まだうまく特徴をつかめていないようではあるわね」
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「……でも、いいんです。アタシが一人悪者になることで幸楽がうまくいくっていうんなら……それに、大きいおかみさんの味方はこの家でアタシだけなんです。だから、アタシがこの家を出て行ったら大きいおかみさんを守ってあげられないじゃありませんか。ねえ、大きいおかみさん？」 |
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「お、大きいおかみさん？」
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「あーっ、固有名詞が出たところでやっとわかったよ。こいつ、『渡る世間は鬼ばかり』の聖子だっ！ 田島聖子だよこいつっ！」
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「あーっ！ あの、すごくイヤな性格の！ 個性派女優中島唱子さんが演じるところの田島聖子！ それはたしかに大悪霊だわっ！ ……このっ！(パンッ)」
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「いたいっ！ なにするんです、大きいおかみさんっ！？」
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「なんであんなに加津ちゃんや光子さんをいじめるのよっ！ あなただけは絶対にゆるせないわっ」
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「周ちゃんにも申し訳ないと思えっ！ 旦那に迷惑ばっかりかけやがって！ このやろっ、このやろっ！(ガスッ)」
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「いたっ！ いたっ！ いたいったらありゃしない」
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「むっかぁ！ その橋田脚本しゃべりがまたムカつくんだよっ！ このやろっ、このやろっ(バキッ)」 |
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「いたっ！ いたっ！ 助けてください、大きいおかみさんっ！」
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「誰が赤木春江よっ！ このっ、このっ！ 幸楽から出て行けっ！(ドカッ)」
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「……まぁ偉そうに！ なにが幸楽よ。アタシだって安い給料で幸楽にこき使われているんだ。500万くらい横領したってバチ当たらないだろ」
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「うるさいっ！ 黙れっ！ 死ねっ！ もはや死ねっ！(ガスガスッ)」 |
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「いたいっ！ いたいっ！ もういいわ、こんな店やめてやるっ！」
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「あっ、しまった！ 怒りにまかせて悪霊を殴りすぎたわ。脱魂して逃げる気よっ！」 |
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「こんにゃろ、逃がしてたまるかーっ！ “ドチリナ オラショデ ウントコ ショ“ 石坂浩二の生霊よ我が身に降霊されよかしっ！」 |
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「な、なぜに石坂……はっ、石坂浩二さんといったら『渡る世間』のナレーター役だわっ」 |
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「(ナレーション)幸楽のいざこざの元となっていた聖子は、その悪業が祟ったものか、心臓発作を起こして死んでしまいました。悪の元凶が消えたことで幸楽に再び平穏な日々が戻ってくるに違いない、五月は、聖子の死にほっと胸を撫で下ろすのでした。(チャララチャラララチャーララー)」 |
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「うっ……胸がくるしい！ ぎゃー、ばたり！」 |
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「石坂浩二の説得力あるナレーションでストーリーをごういんに変えてしまったというわけね。さすがサグメちゃん、理知的な除霊法だわっ！」 |
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「やった、してやったり！ ムカつく聖子を亡き者にしてやったゼー！」 |
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「……う、うーん」 |
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「あ、シコメちゃん、正気にもどった？ もう、たいへんだったんだから」
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「……ちょっと母ちゃん、冗談じゃないわよ、お金貸してちょうだい！」 |
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「あーっ！ 邦子だーーっ！」 |
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「なによアンタたち。文句あんの？」 |
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「このやろっ、このやろっ！」 |
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「いたいっ！ いたいっ！ ちょっと、なにすんのよアンタたちっ！ やめなさいよっ！」(中盤にループ) |
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☆☆☆お・わ・り☆☆☆ |