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血圧の再測定に出かけてきました。 思うに前回、最高血圧145mmHgという高血圧をマークしてしまった原因は、きんちょうしていた、リラックスできていなかったせいだと思われます。へんな機械に腕を締め付けられるという非日常体験にドキドキしてしまったため、そのドキドキの剰余分が最高血圧にプラスされてしまったにちがいない、要するに僕は不健康なわけではなくて、ただ小心者だったからにちがいありません。などと、あくまで自分が不健康であることを認めたくないのです僕は。 なもんだから、「測定者の名前はヒモロギ。彼はごくふつうに健康で、ごくふつうの血圧でした。でも、ひとつだけちがっていたのは……ヒモロギは、小心者だったのです！」 などという「奥様は魔女」的ナレーションが脳裏をよぎったりなんかして、あくまで自分が不健康だということを認めたくないのですこの魔女妻おとこは。いやいやっ、あたし、認めたくないの自分が高血圧だなんてっ！ んもう、冗談はやめてっ、キライよダーリンったら！ 前段落は文章が破綻してしまいました。気をつけます。ほんと、むずかしいなあ文章ってやつは。 緊張しないようにふるまえばふるまうほど緊張してしまう、というのは僕のいつものパターンですので、測定中はなるべく別のことを、なおかつ出来るだけテンションが下がるようなことを考えるべく努めました。とりあえず、巫女装束姿の泉ピン子さん(参照)を脳裏に思い描き、必死にたぎる血潮を静めました。で、結果は最高血圧122mmHg。やった、でかした、たいしたもんだぜ鎮静作用オブザピン子！ ピン子のおかげで晴れて僕の健康が証明されまして、僕はがぜん元気を取り戻します。待合室の長椅子にピョンと飛び乗り、「ははは、待合室につどう病人どもよおれをみろ。おれの名は健康体だ。ははは。健康体、学生保健管理センターにあらわる！」と律儀にも健康自己紹介をおこない、まわりの不健康な病人たちの頭をポコポコたたいてまわり、「ははは、なんだなんだ、君たちの顔に浮き出た黄疸は！ 死相かよ！？ 死相かよ！？」とキレのいいツッコミを入れたり、「ははは、健康さいこう！ やっぱなんつうの、健全な精神は健全な肉体にしか宿らないっつうの？ 君たち見てると、あながちウソじゃないっつうか？」と、ある種特権階級的まなざしでもってまわりの受診者たちを値踏みするようにねめまわし、待合室の壁にかけてあったホワイトボードに「不健康者疎外運動」のキャンペーンマスコットキャラクター「ク〜ベルたん」を粗描した後、いかにも健康まるだしなでんぐりがえしを披露しながらセンターの自動ドアを通り抜け、そのままでんぐりがえしでアスファルトの上をどこまでもどこまでも転がってゆくのでした。 前段落はでまかせです。血圧再測定の日記なんてまるで地味な話なので、少しでも派手な内容にしたかったんですが、なにぶんさじ加減を間違えたような気がしないでもありません。気をつけます。ほんと、むずかしいなあ文章ってやつは。 とってつけたようなまとめとしましては、ええ、やはり健康は大切にしたいものですね。職もない、金もない、友も恋人もなく帰る家すらない僕にとって、ただひとつ頼れるものといえば自身のタフネスボディー(53kg)だけなのだから！ |