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「ワシがシコメの父親じゃ!」 |
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「ぎょぎょーっ!」 |
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「ははははは」
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「……あー」 |
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「ははははは」
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「まずいよ姐さんこれは。版権的にすごく」
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「う、うん。さっさと追い返しましょう」
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「ははははは。娘たち。なぜワシがこんな姿なのか知りたいかね」
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「いいえ、あまり知りたくないので、早々にお引取り願います」
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「……そう、あれは十五年前のことじゃった」
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「なんか勝手に回想を語りはじめたよ」
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「ワシとワシの女房は幽霊族最後の生き残りとして、人間に紛れてひっそりと暮らしておった」
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「話からしてまんまじゃん。水木プロに怒られちゃうよ」
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「不治の病にかかったワシら夫婦は、悪いこととは知りつつも治療代を工面するために自らの血液を売って……」
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「ちょっとちょっと、わー! わー!」 |
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「…(中略)…血液銀行の水木青年が去った後、身重の妻が死に、世をはかなんだワシも工業用メチルアルコールを飲んで自殺を……」 |
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「わー! わー!」
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「なんじゃ、さっきからうるさいのう。ここらへんからオリジナルなんじゃから、黙って聞かんか」
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「え? あ、そうなの!?」 |
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「それでえ、妻の死体から産まれたシコメが墓場から這い出てきてえ、親のない娘をふびんに思ったワシは霊魂を眼球に乗り移らせて再生しようとしたらあ、メチルを飲んだ時に目玉がつぶれたもんだからあ、いの一番に腐ってしまっていてえ、それで目玉には乗り移れなくてえ」
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「そ、そうだったんですか」 |
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「しょうがない、ってんで、目玉以外のべつのタマに乗り移って再生したわけなんじゃ。だからコレ、モザイクの下は目玉じゃないんじゃよ」 |
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「それじゃあいったい、何に乗りうつったんですか」
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「きんたま」
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「ぎゃー」
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「最低だ! こいつ最低だ!」
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「ワシの顔にモザイクがかかっているのは、版権問題を考慮してのことではなくて、ただ単にハレンチな局部映像だからなんじゃ。別キャラなんじゃよ」
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「それじゃその、呼び方としては……『きんたまの親父』?」
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「きんたま言うなよ、嫁入り前が」 |
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「じゃあ、きゃんたま」
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「ちょっと、お願いだから黙ってて」
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「身もふたもない呼び方をされるとちょっとキズつくので、『べつの玉の親父』とか、そういうソフトな呼び方がいいのう」
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「じゃあ、べつの玉の親父さん。ええと、話はだいたいわかりましたわ。つまり、あなた方親子は幽霊族の生き残りなんですね」 |
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「いかにも」 |
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「だとすると、コナゴナになったシコメちゃんは、幽霊族持ち前の再生力で元に戻ることが出来るんですね」 |
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「いかにも」 |
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「あたしたち、その方法を知りたいんです」
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「タイトルにも書いてあるからもうわかってると思うけど、ワシが『まぼろしの汽車』を呼ぶから。まあ、このへんは『鬼太郎』のパクリなんじゃが、あとはもう、わかるじゃろ」
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「シコメちゃんが死ぬ前まで時間をさかのぼる、と」
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「そうそう、そういうこと。えーい、ほれ来た『まぼろしの汽車』。あ、言っとくけど、子を想う親の強い念がないと呼べないんじゃよコレ。いとも簡単に呼んだふうに見えるかもしらんが」 |
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「へー」
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「シコメの破片はそこにまとめて載せるんじゃ……そうそうそこに。ようし、ちょっくら行ってくるわい。それじゃあ出発ヨウポッポウ。シュポポー」
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「あ、行っちゃった。なんててきとうな展開なのかしら」
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「まあ、これでシコメも次回までには復活しているだろうし、いいんじゃないの。……それにしても驚いたね」 |
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「本当よねえ。あんなきゃんたま初めて見たわよ」
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「……シコメが幽霊族だったってことにだよ。こっちに関しても少しは驚きなよ」
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「あっ、もしかして『鬼太郎』でいう“毛目玉“みたいなバージョンのやつもいたりするのかしら。やあねえ。やだわあ」 |
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「……」
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「やあねえ。やだわあ。ほんとやだわあ」
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