12月4日(水)







 巫女さん座談会in社務所 「人生を救え!」
 
●●●登場人物●●●

ウズメさん
巫女さん(21) 
年長者 
主な口寄せキャラはトキワ荘の人々


サグメちゃん
巫女さん(18) 
ナゴムギャル 
主な口寄せキャラはモンゴルの英雄チョイバルサン

シコメちゃん
巫女さん(14) 
PTSDの幽霊族
主な口寄せキャラは低級動物霊

詳細なプロフィールはこちら



〔本日のお悩み〕
「受験生の私は『苦しいときの神だのみ』で神社に合格祈願をしにいこうと思っているんですが、どこの神社が一番効き目がありますか? それと、神さまってこんな私利私欲のお願いを叶えてくれるものなんでしょうか? どういうお願いまでなら叶えてくれますか? 『学校に行かないでラクして暮らしたい、ついでにもう少し痩せたい』なんてお願いはやっぱり却下されちゃうんでしょうか? でも、お願いを叶えてくれない神さまなんて存在する意味がないと思いませんか? ……質問がいっぱいあってゴメンナサイ。どうかよろしくお願いします。(15歳・中学生)」


「なるほどねえ。思春期特有の悩み、ってやつね」


「思春期は関係ないと思うよ」



「ここはひとつ、同じく思春期まっただなかの多感な14歳、シコメちゃんの意見を聞いてみようじゃありませんか」


「思春期は関係ないと思うよ」



「ふんふんふふん ふんふん ふふん」


「あら、鼻歌を歌いながらお絵かきだなんて、いつにもなく精神が安定してるわね」


「口ずさんでいるのが『エクソシスト』のテーマってあたりがちょっとアレだけどね」


「ふんふんふふん ふんふん ふふん」


「そんなに上機嫌で、いったい何を描いているの?」


「あのね、この神社のためにオリジナルの“ご当地キティ”をデザインしていたんだよー」


「あら、素敵じゃない! ところで一体なにキティ? “巫女さんキティ”とかかしら?」



「ちがうよー。 じゃーん、みてみて、『ハローキティ』+『ザ・マンリキ』で『ハロー・ザ・マンリキティ』でーっす! ぐろろーっ」



「……」


「グヘヘ…… スクランブル・バイスーっ!」


「……あのね。うちの神社はザ・マンリキなんていう悪行超人とは縁もゆかりもないわけだから、それじゃあ“ご当地キティ”とは言えないと思うなあたしは」


「そんなことないよ。だってシコメ、こないだ社殿に忍びこんでこっそり合祀しちゃったんだもーん。ザ・マンリキ様っ☆」


「……ちょっと、なんてことするのよあなたはっ!」


「ふんふんふふん ふんふん ふふん」


「なんて罰当たりな真似を……あ! じゃあ、裏に『メシ喰うな』と彫られたへんてこな大黒天がいつのまにか社殿に祀られていた事件、するとあれもシコメちゃんの仕業なのね?」


「あ、ごめん、それはアタシだ」


「サグメちゃん! あなたまで何やってるのよっ!?」


「へへへ。あれね、正式名称『くっすん大黒』っつって、ようは町田康さんを祀ったわけなんだけど」


「町田さんを祀ってどうするつもりなのよあなたは。あきれて物も言えないわ」



「もー。なんでもかんでもシコメのせいにしないでよっ」


「あ、ごめんね。この件に関してはシコメちゃんをうたぐって悪かったわ」


「シコメが祀ったのはザ・マンリキ様と嶽本野ばら様だけなんだから!」


「ちょっと! やっぱり祀ってたんじゃない他にも! 神聖なる神の社をなんだと思っているの、このうどん野郎っ!!」


「あれ、そういえば『くっすん大黒』を合祀しに忍び込んだとき、祭神の御名が力石徹にさし換えられてたんだけど、あれはシコメの仕業じゃなかったんだ?」



「えー ちがうよー」



「あ、あれはあたし」



「……」


「だって、力石様だったら霊験あらたかだし。いいじゃない、べつに」



「……」


「うっ、なによその目は。力石明神と他の連中を一緒にしないでよ」



「……」


「……力石明神にお参りすれば、突進してくるあばれ豚の群れの間をかろやかに走り抜けられるようになるというわ」


「いらんわ、そんなご利益」






〔お悩み回答〕
 たとえば当社で祈願すると、あばれ豚の群れの間をかろやかに走り抜けられるようになります。でも、実際にあばれ豚の群れに飛びこんでみないことにはご利益の有無はわかりませんよね。だから、結果うんぬんよりも、飛びだすためのきっかけとか心の支えとか、神さまの意義ってそういうことなのかもしれませんよ。
 合格祈願をするなら遠くの天満宮よりも近くの鎮守さまがいいと思います。いざという時頼りになるのは貴女を常に守護してくれている産土神さまですから。でも、もし貴女の受ける学校の試験科目に「あばれ豚の群れの間を走り抜けるテスト」があるのなら、ぜひ当社にご参拝を! 畏