1月12日(日)

 巫女はじめ。今年は自己満足の度合いに磨きをかけていきたい。





 巫女さん座談会in社務所 「サル山に響けトレモロアーム! の巻」
 
●●●登場人物●●●

ウズメさん
巫女さん(21) 
年長者 
主な口寄せキャラはトキワ荘の人々


サグメちゃん
巫女さん(18) 
ナゴムギャル 
主な口寄せキャラはモンゴルの英雄チョイバルサン

シコメちゃん
巫女さん(14) 
PTSDの幽霊族
主な口寄せキャラは低級動物霊

詳細なプロフィールはこちら





「あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いしやっす!」


「……でもね、あの作戦じたいはわるくなかったと思うのよ。現にジュンマをあそこまで追い詰めたわけだし」



「でも〜、バナナに発信機を仕込んだのはシッパイだったよぉ。バナナじゃなくてカメがジュンマの好物だったのにぃ〜」


「あら、バナナだってジュンマの好物よ。信夫さん(ナレーター)が言ってたじゃない」


「え〜、でもぉー」


「こらこら、ちゃんと挨拶しろよ。っていうか、まだスイスペの話をしてんのかよ。いったいいつの話だ」



「でもほら、年末年始は神社が休みだったから、なかなか三人そろって藤岡探検隊の話をする機会もなかったでしょう」


「年末年始に九連休をとるっていうのがそもそも間違ってるよ、この神社」


「だって、お正月は初詣に行かなきゃならないし、いろいろと忙しいわけじゃない。働いてなんかいられないわ。お餅だって落ち着いて食べたいわ」


「シコメは人ごみが怖いから、ずっとお家にひきこもっていたよ。クスリ(安定剤)が切れちゃってけっこうヤバかったんだよ〜」


「もういいよ、はいはい。それじゃあね、そんな正月ボケの太平楽なあんたらの目を覚ます上喜撰、はいどうぞ」


〔本日のお悩み〕
テレビ朝日系25日「スイスペ!あの探検隊が帰って来た!!」。アマゾンの雄大な自然が見たかったのと「謎の猿人ジュンマは実在した」という副題にひかれ、延々見てしまったが期待外れ。いかにも作り物めいていた。



「わ。なんなの、これ?」



「読売新聞に載っていた投書。面白かったから無断引用」


「『謎の猿人ジュンマは実在した』という副題にひかれ……ぶっ、くふふふふ!」


「『延々見てしまったが期待外れ』……げらげらげら。うひゃっ、うひゃっ、ひ、ひぬー!」


「ね、おかしいっしょ? これをわざわざ読売新聞に投書する笑いのセンス!」


「『いかにも作り物めいていた』って、わざわざ投書することなの、それ? ぷふふふふ」


「そのくせ『延々見てしまった』だって、お、おかひー、にしししし」


「ウケるよねえ、これ。うはははは」


「うふふふふふ」


「あはははは」


「ひぬっ、ひぬっ、げらげらげらげら、い、息が、げふっ、げほっ、……くぶっ、ぶぐっ、カクン」


「あっ、あまりに強烈な初笑いのせいで、シコメが窒息死しちゃった!」


「『サウスパーク』のケニーみたいな命の安さね。まあ、どうせ次回には黄泉がえっているだろうからシコメはほっとくとして、とりあえずこの初笑い相談を片付けちゃおうよ。このままじゃアタシたちも笑い死にしてしまうわ」


「そうね。じゃあ、あの方を呼ぶとしましょう。オンバラモンギャラモンアカイチョッカイカワバカマソワカ」


「あっ、その行法……さては戦国一のかぶき者、前田慶次を呼んだのねっ!」


「左様、前田慶次郎利益、男見物にまいった!」


「まったく、登場早々かぶいたことをほざきやがって。いいですか。ここには巫女しかいませんよ。そんなことのために前田殿を呼んだわけではありませんよ。まずは黙ってこの投書を読みなさい」


「ほうほう、どれどれ……ふっ、ふはははは」


「くふっ、いや、笑ってないで、くふふふ、なにか一言」


「『延々見てしまったが期待外れ』! 何をいまさら! わはははは」


「へへへ、ねえ、まったく、うへへへへ」


「わはははは」


「うはははは」


「わはははは」


「うはははは」
−二時間後−


「いやあ、ひー、ひー、わ、これ以上笑いながら酒を酌み交わしていても埒が明かないので、なにか結論をお願いします前田殿。ういー、ひっく」


「そうかね、わっははは」


「は、はい。ひー、ひっく。うひゃひゃひゃ」


「……うむ、たしかに藤岡殿の番組には雄大なアマゾンの大自然もたいして映し出されなければ、期待はずれのうえ作り物めいており、そのうえ藤岡殿はカメラマンと照明のあとに洞窟に入り、ジャングルの奥地で発見された新人類の腕には時計の跡がある」


「いかにも、いかにも」


「……だが、それがいい!」


「そう、そこね、そこ! もっかい言ってー!」


「だが、それがいい! 藤岡殿こそ太平の世に咲き誇る徒花よ! わしはあの男に一個のいくさ人のすがたを見た! その他に、いったい何をのぞむかね!?」


「そうそう、何度でも言ってちょうだい。ういー」


「虎は、なにゆえ強いと思うかね? もともと強いからよ!」


「ぜんぜん関係ないけど、それはそれで金言、金言! よくぞかぶきなさった! さればもう一献!」


「わっはは。わっははは」


「あそーれ、テンツク、トンツク」


「されば座興に猿舞をつかまつる! はっ、ほっ、むっきっきー」


「よっ、待ってました! いいぞー猿関白! ぎゃはははは。でもいいんすか。秀吉に見つかったら手討にされますよ〜!」


「♪おりゃ知らねー、わーからねえゼ、サールーだからーなー!」

「♪イージーカ〜ム! イージーゴ〜! 
 モンキーマウンテンサ〜イド!」


オチ:なし
内訳:死者(一名) 泥酔者(一名) かぶき者(一名)






〔お悩み回答〕
 だが、それがいい!