2月27日(水)

 イタくてなんぼ 脳内巫女さん座談会

参加者
ウズメさん…巫女さん(21) 年長者 主な口寄せキャラはトキワ荘の人々。

サグメちゃん…巫女さん(18) 守銭奴 主な口寄せキャラはチョイバルサン(モンゴルの英雄)

シコメちゃん…巫女さん(14) PTSD 主な口寄せキャラは低級動物霊(霊媒技術が未熟なため)

  前回のあらすじ
 薄幸の赤塚賞マンガ家宇土まんぶと発酵の打ち切りマンガ家キユの邪霊にとり憑かれたウズメとシコメ。そして社務所を覆う打ち切り瘴気に当てられてしまったサグメ。遠のく意識とはだけるハカマ。社務所の中は今日も大騒ぎ!



ウズメ 「パロパロー、パロパロー」

シコメ 「コノホンワー、ロックダー」

サグメ 「くっ、打ち切りマンガ家の亡霊どもめ……ダメだわ、意識が遠のいてゆく……」

ウズメ 「エヌエイチケー、アーカイブスー」

シコメ 「スプーンタップー、スプーンタップー」

サグメ 「……こなくそ、ええーいままよ! “ドチリナ・オラショデ・ウントコ・ショ☆“ 打ち切り調伏の羅刹神よわが身に降臨されよかし!」



ウズメ 「……オ、オオ……キ、キサマハ……」

シコメ 「ジャンプ史上デ唯ダ一人、打チ切リ地獄カラ復活シタ伝説ノ作家神……鈴木央!」

サグメ 「んだ、俺が鈴木央だげっちょ。くらえっ、ライジング・インパクトー!」

ウズメ 「ギギギ……マンブー!」

シコメ 「ギギギ……ヤ、ヤサシイマンガガスキ。バイバイ!」



サグメ 「……おい、おい。二人とも、気がついたけ?」

ウズメ 「ん……うーん…… あたしは一体今まで……」

サグメ 「おめぇは怒りで霊力が暴走したところをつけいられ、悪霊宇土まんぶに魅入られてしまっていたんだべ。ぬはは」

ウズメ 「その笑い声……もしやあなた様は、打ち切り除けのマンガ神鈴木央さま!」

サグメ 「ぬっはっは、もうその呼び名はやめてけれ。俺は先週、またもや打ち切りをくらっちまったんだがらな」

ウズメ 「ええっ、あの不死鳥マンガ『ライジング・インパクト』がまたも打ち切りにっ? せっかく復活の快挙を成し遂げたのにっ? また打ち切りっ!? ぷっ」

サグメ 「あっ、おめえ、今笑ったべ? 同じマンガで二度も打ち切りをくらった俺のこと笑ったべ!? ピエロみたいだと思ったべ!?」

ウズメ 「い、いえ、その……笑ってません。こっけいな道化みたいだなんて、思ってもいませんわ」

サグメ 「じゃあさっきの、プッ、ていうのは一体なんなんだ? いっどぐげど、回答しだいでは手にしだパタークラブでおめぇに何すっがわがんねえがんね」

ウズメ 「ええと、そ、それはその……」

サグメ 「ああ?」

ウズメ 「それはその……お……お、おなら? みたいな」

サグメ 「お、おなら!? おならをしたのが!? 白昼堂々?」

ウズメ 「そ、そう、おならです! なによ、白昼堂々おならをしたっていいじゃないですか。出物腫れ物、ところかまわずじゃありませんか!」

サグメ 「それはそうだげっちょも」

ウズメ 「も、もうこの話はこれでいいですよね。あたし笑ってなんかいませんから」

サグメ 「ああ、俺が悪がっだ。すまねえ」

シコメ 「いやあ、おならってことはないでしょ。そんなバカな。うん、ないない。ありえないよそれは」

ウズメ 「シコメちゃん?……はぁ。今度は誰に憑かれたっていうのよまったくもう」

シコメ 「あ、申し遅れました。僕は『死せる魂の会』というサイトの管理人をしております、ヒモロギと申す者の生霊です。巫女さんが好きで好きでたまらない人種の代表として、幼いころ心に深いキズを負って以来情緒不安定なこの巫女さんに憑霊をこころみたところ、どうやらうまくいったようです。ははは。なせばなる」

ウズメ 「……」

サグメ 「……」

シコメ 「それでね、さっきの話ですけど、やっぱりおかしいんじゃないかなあ、と思うんです。僕が長年にわたる研究から導き出した結論を先にいってしまうとですね、生物学的見地からいって巫女さんはおならをしない生き物のはずなんですけど」

ウズメ 「……(ノーリアクション)」

サグメ 「……(ノーリアクション)」

シコメ 「……(リアクション待ち)」

ウズメ 「……ああ! どうしましょう。これはとても大変なことだわ。『自分の考えたオリジナルキャラと自分とを対談させているアホサイト』が傍目から観てどんなに痛々しいものなのか、まるで認識できていないんだわ、この人は」

サグメ 「俺、見ながったことにすっがら。さすがにこれはナシだべ。カンベンしてけろ。カンベンしてけろ。お願えだ! 後生だがら母ちゃん、どうが俺を間引いだりしねえでけろ!(東北の寒村育ちという生活環境がはぐくんだトラウマが、思わず表層意識上に噴出)」

シコメ 「いや、僕はね、たとえどんな禁忌を犯してでも、みなさんに正しい巫女知識を教え、啓蒙したかった、ただその一念のためにこんな姿になってまで……こんな姿? あっ、僕いま巫女装束着てる! そうだ、僕いま巫女さんじゃん! あれっ、ということはつまりですよ、僕が、ちょっと暑いな今日は、こんな日はスイカバーでも食いたいよーんとか言いながらなんとはなしに服をはだけてみようとしたりすると、僕の霊思念によって支配統制されているところのこの巫女さんの着衣、つまりいわゆる巫女装束もはだけたりするわけですか?」

ウズメ 「はだけます」

シコメ 「フハッ」

ウズメ 「はだけますが、やめてください」

シコメ 「あっ、はい」

ウズメ 「素直ですね」

シコメ 「僕は巫女さんに対しては非暴力絶対服従の理念を貫いているのです。巫女フェチ界の裏ガンジーとでも呼んでください」

ウズメ 「呼びません」

シコメ 「あっ、はい」



シコメ 「……じゃあ、とりあえずその」

ウズメ 「はい」

シコメ 「御朱印いたただけますか」

ウズメ 「はい。どうぞ」

シコメ 「御代はその、いかほど」

ウズメ 「500円になります」

シコメ 「はい」

ウズメ 「ありがとうございました」

シコメ 「じゃあその、失礼します」

ウズメ 「さようなら」

シコメ 「さようなら」





 まったく本題(オススメマンガについて)に触れぬまま二回目の対談が終わってしまいました。文章を書いていてこんなに申しわけない気持ちになったのは久しぶりです。はたしてこれは次回に続くんですかね。



〔脳内巫女さん座談会 バックナンバー〕
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